80%以上の労働者が社会保険制度未加入

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

国内の80%以上の労働者が社会保険制度に加入しておらず、退職後に生活保障がなくなる危険にさらされている。大蔵省の報告書によれば、加入率が低い水準に留まっている主な理由は、全国2万6258社の非国営企業のうち2163社だけ(8.2%)が従業員のために社会保険料支払いを行っていることである。非国営企業で働く労働者数は全国で約400万人に上るが、その1.88%(7万5134人)しか社会保険基金に加入していない。最近、社会保険機構がまとめた報告書によると、同基金の上部組織全体で、これまでに社会保険に加入した労働者数は、全労働者の14%にとどまっている。

労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)職員は、2000年5月中旬、社会保険制度の補償水準が低いことや、補償を得る際に必要とされる手続きが複雑であることが原因で、加入率が非常に低くなっていると語っている。

ハノイの、ある社会保険基金は、1995年の設立以来、10億ドルの保険料を徴収した。この基金の職員チュウ・ドゥク・ホアイ氏によると、首都ハノイでは1420社の非国営企業のうち270社だけが基金に加入しており、6800人の労働者に保険をつけている。したがってハノイの非国営企業では、90%~95%の労働者が社会保険に加入していない。ホーチミンの非国営企業では、加入状況は比較的よく、7万5000人の労働者、あるいは70%の労働者が社会保険に加入している。

チュウ・ドゥク・ホアイ氏は、各企業が従業員を社会保険基金に加入させなかった場合に、現行規則のもとで企業に課される罰金の最高額が200万ドン(100ドン=0.78円)という僅かな額であることを批判する。従業員数が10人未満の企業や、3カ月以内の短期労働契約で働いている労働者は、基金の加入対象になっていない。このため非国営企業は、様々な手を使って社会保険料拠出を逃れようとしており、従業員数や給料の金額を過少申告したり、会社の所在地を報告せずに、基金職員からの問い合わせをかわそうとしている。

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