フロリダ州、州政府職員に州年金から401kプランなどへの移管を許可

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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フロリダ州上院は2000年5月5日、州政府職員が州の年金制度から脱退し、401Kプランのような貯蓄勘定に移ることを認める法案を可決した。この法案はすでに同州下院で可決されており、今後ジェブ・ブッシュ州知事の承認をうけ、2002年までには施行される運びになっている。州政府職員と地方公務員を合わせた約65万人が、州年金制度から脱退してもよいことになる。これまで合衆国で、州政府職員が州年金制度から脱退することを認めている州はなかったため、年金関係者や政治家は、フロリダ州の動きを注目していた。カンザス州やオハイオ州でも同様の法案が議論されており、これらの州に対し、1080億ドルの規模を持つフロリダ州年金制度(全米第4位)の選択が大きな影響を与えるものと見られる。

フィデリティ・インベストメンツなどの産業界は、ここ3年間活発なロビー活動を行い、今回の法案成立を議員に働きかけてきた。保険業界、銀行、ミューチュアル・ファンドは、州職員の現行の年金額に加え、それに上乗せされる勘定の資金を運用することで何十億ドルもの手数料を得ることができる。フロリダ州の計画では、州職員は、5種類から8種類のミューチュアル・ファンドの選択肢から投資先を選ぶことになる。その場合、従来の年金制度とは異なり、毎月の収入が保証されず、各職員の運用状況によって引退後の収入の多寡が左右される。

このため、労働組合や職員のグループは、職員の中には自分の老後を支える資金を上手に運用できない人があり、さらに引退前に資金を使い果たしたり、年金に替わるプランに加入しなかったりする人も出るのではないかと危惧している。この他、今後解決しなければならない問題は、制度移行費用の捻出である。州年金への保険料拠出者数が減少すれば、今後の年金保険料支払いに見合う収入源がなくなってしまう。州の年金基金を担当しているマクマラン氏によると、今後、労使、あるいは納税者が州年金に拠出する必要が生じる可能性がある。

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