フォード、ダゲナム工場のライン閉鎖で3000人削減

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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米フォード・モーターは2000年5月12日、70年近く自動車の大量製造を続けてきたダゲナム工場(ロンドン東部)の車体・組立ラインを閉鎖すると発表した。これに伴い、3000人が削減される見通しである。

今回の動きは、需給不均衡を調査しているフォードの欧州マネジメント・チームによる事業見直しの一環である。見直しは、欧州フォードの1999年第4四半期の90億ドルの売上げに対し、5500万ドルの損失を計上したことにより、フォードのジャック・ナセル会長が命じた。ナセル会長は2000年の間に10億ドルのコスト削減を計画しており、ベルギーのゲンク、スペインのヴァレンシア、ボルドー付近のブランクフォールにあるトランスミッション工場、ドイツのケルン、英国のヘイルウッドがリストラの対象となる可能性がある。

ダゲナム工場は主に小型車「フィエスタ」を生産しているが、ポンド高のため輸入車に比べ競争力が低下していた。2000年4月12日には同社の欧州現地法人首脳がブレア首相にポンド高是正を求めていた。

同車体・組立ラインは2001年末までに段階的に閉鎖していく。閉鎖後は独ケルン工場で新型「フィエスタ」を生産し、ダゲナム工場はディーゼル・エンジン生産などに特化する。

同工場の従業員は約8000人で、うち約5000人が車体の製造・組立にあたっている。このうち3000人が削減される見通しだが、一部は同工場でのエンジン生産部門で雇用される。

今回の発表に先立って、労組は、フォードがさらに工場を閉鎖しようとした場合、国内に21あるすべての工場を動員してストライキを行うと警告していた。これに対しフォードは、労組の反発をかわすため、工場を最初に去る1350人に対して最高5万5000ポンドの一時金を提供する提案をしている。自動車産業のアナリストらによると、ダゲナムの組立工の年収は2万~2万5000ポンド。勤続年数が長く、平均年齢は45歳。50歳以上の従業員についてはすべて年金を満額受給できる権利が与えられる。

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