BMW、10ポンドでローバー売却

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

イギリスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年7月

独BMWは2000年5月9日、傘下の英自動車会社ローバーの主要部門をローバー元社長のジョン・タワーズ氏が率いる「フェニックス」グループに売却すると発表した。売却金額はわずか10ポンド(1ポンド=161.10円)で、事実上、膨大な赤字が続くローバーをフェニックスが引き取る形となった。

フェニックスに売却するのは主力のロングブリッジ工場(イングランド中西部)など主要部門。車種では、中小型乗用車「ローバー」部門、小型スポーツカー「MG」、小型車「ミニ」の現行モデルが対象。2001年夏販売予定の新型「ミニ」はBMWが維持する。四輪駆動車「ランド・ローバー」「レンジ・ローバー」は、米フォード・モーターへの売却で合意済み。

BMWは当初、ローバーの主力部門を英投資家グループのアルケミー・パートナーズに売却することで基本合意していた(3月16日)。アルケミーはローバーの大規模な合理化案を打ち出し、これには労組のみならず、欧州内で自由競争の旗振り役を演じてきた英政府も猛反発。労組と政府は他の売却先を探っていたが、2000年4月14日、政府の強力な支持をうけてフェニックスが買収に名乗りをあげた。BMWは、アルケミーとの交渉が4月末に決裂して間もなく、フェニックスとの交渉に入っていた。

タワーズ氏は記者会見で、1000人未満の人員削減で済むリストラを実施すると表明、「アルケミー案に比べ部品メーカーなどを含め1万9000人の雇用が救われる」と強調した。

フェニックスとBMWの交渉を取り持ったバイアーズ英貿易産業相は、「フェニックスは2、3年内に大手自動車会社との合弁も視野に入れている」と表明した。

2000年7月 イギリスの記事一覧

関連情報