週35時間制協約の特徴は労働時間の個別化

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年7月

雇用省調査局(DARES)のために雇用調査センター(CEE)が実施した調査によると、週35時間制協約の大きな特徴は労働時間の年計算化と個別化だという。CEEは1998年9月から1999年5月にかけて労働時間短縮に関する12のパイオニア的企業を調査したが、その中で週35時間制協約締結という結論を導いた4つの論理を実証している。すなわち、(1)経営的に苦しい企業が金銭的補助に魅力を感じて防御的協約(雇用を増やすのではなく、維持を約束する協約)を選択する場合、(2)組織の働きを見直す(作業手段のコンピュータ化、年間変形労働時間、野心的な職業訓練制度など)ために週35時間制を利用する使用者によって、企業の合理化が進められる場合、(3)従業員の若返りや所得を生む営業機能の開発などのために、企業が採用を求める場合、(4)そして需要に適応させるために労働時間を調整する場合である。

労働時間短縮方式の共通的傾向を引き出すのは難しいが、圧倒的多数(12協約中10)の場合に、労働時間の計算および短縮の基礎に年計算が使われている。CEEによると、「年計算が労働および雇用の『柔軟化』の進展と結びついていることは否定できない。これはおそらくフランスにおける週35時間制適用の1つの重要な結果」だという。

また、労働時間調整のさまざまな可能性(1日もしくは週の労働時間短縮、休日など)に依存することによって労働時間の個別化が可能になり、集団的枠組みが再び問題になっている。長期間(月、年)にわたって作成される個人予定表の使用も、柔軟化の現れである個別化を証明している。状況の多様性に適応させたいがために、議会では複雑な規定が制定された。しかし、CEEによると、おそらくは逆説的に一方が他方の原因となる「規制強化」と「規制緩和」を同時的に組み合わせようという動きの中にあって、内部から規制的意図が掘り崩されているように見えるという。

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