失業保険改革
―MEDEFが雇用復帰援助契約の個別化を提案

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

フランスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年7月

フランス企業運動(MEDEF)は「労使関係の再構築」を目指して労働団体と協議を重ねているが、2000年4月4日には現在の失業補償の仕組みに換えて「雇用復帰援助契約」方式を採用すべきだとする新たな提案を行った。

「効率性」を旗印に、「結局のところ成長にブレーキをかける可能性のある一部部門の雇用不足を吸収する」ことに熱心なMEDEFは、補償よりも雇用復帰を重視する失業保険改革の構想を明らかにした。

MEDEFの構想によると、それぞれの求職者には一種の個別的契約が提案されることになる。求職者へは最初に、「我々はあなたの職業適性と能力という財産全体へ出資することになる」との文書で直接話しかけ、その求職者の「財産」と労働市場の求人が対照される。そして、「契約が締結されたら、我々はあなたに、雇用のオファーか職業訓練を提供することになる」との説明が行われる。また、契約締結の前に、「雇用復帰契約に署名すると、あなたが約束を守るという条件で、手当が与えられることになる」と伝えられる。しかし、「その失業者の能力に適合した――その職業と地域で平均的な賃金が支払われる――雇用のオファー」が拒絶された場合には、「失業補償額が見直される」。

労働総同盟(CGT)はこの提案に批判的だ。ジャクリーヌ・ラザール同盟書記は、「経営側は企業特有の要求に応えられるシステムを編成しようとしている。労働者は、若くて美貌、力強くて聡明、健康で熟練技術を持っている必要がある」と皮肉った。

しかし、他の労働団体は、罰則規定にこそ距離を置きながらも、この提案に関心を示している。民主労働同盟(CEDT)のミシェル・ジャルマン代表は、「我々は積極的な雇用政策の大幅な拡大について話し合うためにやってきた」とし、「補償へ付加価値が与えられる」ことを望んでいる。一部の政府代表も同一線上にいる。求職者に対する個別的な手順、そして全国商工業雇用協会(UNEDIC)と国立職業紹介所(ANPE)との接近はいずれにせよ検討可能だと思われるが、それには「国との話し合い」が必要になる。

労働者の力(FO)のジャン=クロード・カンタン氏の場合、「MEDEFの手順は98%承認できるが、残りの2%である罰則規定については交渉できない」という。

労使当事者には裁量の余地がある。この話し合いの数時間前に、UNEDICの最新の財務予測を両者が高く評価していた。だが、失業保険制度の大幅な黒字予測(2000年に64億フラン(1フラン=15.49円)、2001年に140億フラン)は、2000年に潜在的失業保険受給人口が16万9000人減少することに基づいている。登録失業者数は引き続き2000年と2001年にそれぞれ31万9000人と29万4000人減少するものと予測されている。

2000年7月 フランスの記事一覧

関連情報