日系企業、対英直接投資縮小か

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年6月

ユーロに対してポンドが高騰していることを理由に、日系企業が対英直接投資を縮小する動きがでてきた。

ホンダは3月31日、スウィンドン工場(イングランド西部)の生産を半分に縮小することを発表した。ポンド高が一因だという。また建設機械のコマツも、新工場を英国ではなく、ユーロ圏におくことを検討している。

自動車メーカーのニッサンは、1ポンド=2.40DMになった時点でサンダーランド(イングランド北部)で新モデルを製造することを決定していたが、3.20DMまで跳ね上がっている現在、この決定はもはや正当化しにくいとしている。「英国内に工場をおく意味について親会社を納得させるのがますます難しくなっている。原因は私たちの競争力不足ではなく、為替レートにある」(英国ニッサンの幹部)。

こうした主張は、ユーロがEU連合11カ国に導入されて以来、対英直接投資が記録的な高さに達しているのと対照的である。英国投資局(IBB)によると、対英直接投資のストックは1999年に2500億ポンド(1ポンド=157.2円)に達する見込みである(1994年時点では1230億ポンド)。IBBのフレーザー局長は、1999年の日本による投資は「きわめて大きかった」ことを指摘し、投資計画に関する不安が誤っていることを示唆した。

ところが日系企業幹部によれば、1999年の投資計画がなされたのは、ユーロ導入以前、まだ大陸欧州各国の通貨に対してポンド高が進む以前であり、したがって、現在公表されている統計をもって今後の投資計画を楽観視するのは妥当ではない。

対英直接投資ストックの国別比率は、米国が49%、スイスとオランダが各8%、フランス7%、ドイツ6%、日本4%などとなっており、日本の比率は決して大きくないが、英国政府は、日本の投資が減速するのではないかとの懸念の一掃に努めている。

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