(香港特別行政区)女性の賃金、男性の賃金より23%少額

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年6月

人口統計局が2000年3月21日に発表した1999年度の一般家計調査結果によると、香港の女性の所得は依然男性の所得を大きく下回り、上級の職務を担当する割合も同様であり、労働組合側は、香港のサイバー革命の進展でこの傾向はますます進行する可能性があると、警告を発している。

この調査では、年齢別の男女格差を問うており、職業、教育水準、経験、労働時間等の他の要素は斟酌されていないが、すべての年齢層の平均では、女性の平均月収は男性の77%で、女性は男性よりも23%所得水準が低く、男性の1万1000ドル(1ドル=13.67円)に対して女性は8500ドルだった。格差が特に大きかったのは45歳から54歳の年齢層で、女性の平均月収は男性の58%で、男性の1万2000ドルに対して女性は7000ドルだった。また、35歳から44歳の年齢層でも、女性は男性の69%で、男性1万3000ドルに対して女性は9000ドルだった。

また、管理職に就いている男女の割合にも開きがあり、男性の10%に対して女性は4%だった。さらに事務員として働く女性の割合は32%であるのに対して、各種の非熟練労働に従事する女性の割合は25%だった。

この調査結果に対してリー・チュク・ヤン職工会連盟(CTU)事務局長は、女性は主にサービス業で非熟練業務に従事しているので、低賃金職種に取り残されているとし、また香港では IT革命が進展し、この部門は男性が支配しているので、男女の所得格差はますます拡大する可能性があるとしている。リー氏は政府に、もっと宣伝を強化して、女性が適切な職業訓練に参加するように奨励すべきだとしている。

この調査とは別に、機会均等委員会の調査チームが、男女間の所得平等キャンペーンの一環として、女性が男性と「同等の職種で同等の所得」を得ているかの調査にも乗り出している。最近のデータの分析では、香港の男女格差は他のアジア諸国よりも小さいとされているが、同委員会では、民間だけでなく公務員部門や諸外国の事情との比較等を通して、調査を進めていく予定である。労働側はこのような動きを一歩前進と歓迎し、また3月18日にはこの問題で国際労働機関(ILO)の専門家を交えたシンポジウムも開かれたが、香港の有識者の中には、このようなキャンペーンは地元の中小企業の実情からはかえって困難を招くとか、女性の失業をかえって増加させる可能性がある等の意見を述べる者もいる。このような意見に対して、ILOの男女間所得平等問題担当のコンスタンス・トーマス氏は、香港も署名しているInternational Labour Conventionの原則についての理解が徹底していないと、批判的意見を述べている。ちなみに、ILOは特別行政区政府に対して、条約不順守について説明を求めている。

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