失業補償の活性化を求めるMEDEF

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年6月

失業保険運営機関である全国商工業雇用協会(UNEDIC)の役割を再定義する目的で、2000年3月17日に最初の労使交渉が行われた。アングロサクソン的な例を持ち出しているフランス企業運動(MEDEF)は、失業保険を「雇用復帰対策の有効な手段」とするために、職業訓練、失業補償、求職活動を密接に連動させたいと主張し、そのために5つの基本的な方向を提案した。労働団体はその提案に基づいて話し合うことには同意したが、労働の権利に対するこのようなアプローチに懸念を抱いている。

MEDEF の提案の骨子は以下の通りである。

求人と補償水準の関係

それぞれの求職者にはその「有効と認められる能力」への実際に対応した1つもしくは複数のオファーが行われることになる。これらのオファー(あるいは、そのオファーに対応する資格を得るための職業訓練)を拒否した場合、その者は自らの求職活動が本物でも真剣でもないと立証することになるので、失業手当の調整を受けることになる。一方、「いかなるオファーもその能力に見合っていない場合は、実際の再就職の斡旋を受けるまでその補償額を維持することができる」。

雇用復帰援助の優先

MEDEF は、「失業期間の最初から、職業活動復帰促進措置を強化すべきである」と提案している。「能力一覧」を組み込んだ雇用復帰援助契約(CARE)により、すべての求職者が求人のある雇用へ到達できる職業訓練へ向かえるようになる。各生産領域ごとの復帰を促進し、雇用可能性を改善するように、補償と雇用を組み合わせた「個別的サービス」の枠組みの中で、この措置は実施される。

長期失業者の雇用復帰

個別的処理の枠組みの中で、家庭内雇用など、資格のいらない雇用の創出を促進することができるように、「雇用小切手」などの特殊方式を実施する。

不安定雇用対策と新型雇用契約

「公共事業の建設現場の契約」や「公共部門の若年者雇用契約」に倣い、MEDEF は、期間の定めのある雇用契約および期間の定めのない雇用契約と並行して、「期間が1つのプロジェクトもしくは1つの任務の終了と結びつけられる」特殊雇用契約の創設を提案している。その方法は、「職業ごとに異なり、職業訓練、失業補償の権利、転職斡旋援助など、契約期間中と契約終了時の特定の条件を付帯させる」ことができる。

若年者の就職状況の改善

MEDEF は、各人の個別状況を判断し、能力貸借対照表の作成を可能にし、就職を援助し、必要な職業訓練を明示する目的で、すべての若年者のために、進路相談サービスの実施を提案している。

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