労使関係制度の再構築に向け労使が交渉日程を承認

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

2000年2月3日、使用者3団体(フランス企業運動:MEDEF、中小企業総連盟:CGPME、手工業者連盟)と労働5団体(CGT、CFDT、FO、キリスト教労働者同盟:CFTC、管理職総同盟:CFE-CGC)の指導者たちが、労使共同運営機関と労使関係の未来について話し合うために、経済社会審議会で一堂に会した。労使トップ会談が実現するのは5年ぶりのことである。MEDEFは、改革が実現されない限り今年末までに労使共同運営機関(失業保険、医療保険など)から離脱すると圧力をかけつつ、「労使関係の再構築」と労使関係規則の再定義について話し合いを開始したいと望んでいる。労働側は話し合いには応じる姿勢だが、その日程に関しては使用者側から主導権を奪い返したいと考えている。

労使共同運営機関と労使関係に関する一連の交渉は遅くとも3月半ばから開始されることになる。MEDEFの呼びかけで経済社会審議会に集合した労使の指導者たちはこの点で意見を一致させた。交渉はまず、話し合いの方法と分野を検討することから始められる。MEDEFが要求している「労使関係の再構築」という表現はすべての団体が調印した文書では用いられていない。「決定事項一覧」では、8つの作業・交渉テーマが列挙されており、これらのテーマを処理する優先順位が定められるとともに、場合によって現段階の単なる指標としての内容が盛り込まれている(どの団体も今後に提案を行うことができる)。

  • 各テーマはそれぞれの使用者団体と労働団体の代表を含む「交渉グループ」によって処理されることになる。
  • 2000年6月末までにもう一度総会を開催する。
  • MEDEFは労使共同運営機関が改革されない限り、2000年末までにこれから離脱することを確認した。
  • 2000年1月26日の共同宣言の中で、MEDEFの「容認し難い圧力」を非難していた労働5団体は数日中に再度協議することを取り決めた。

優先処理課題

次の4つのテーマは優先的に処理されることになり、対応する交渉グループは2000年3月15日までに最初の検討会議を開かなければならない。ここでは次の問題が重要になる。

  • 団体交渉を深める手段と方法。これは、交渉領域(全職業部門、部門別、もしくは企業別)、法律との関連づけ、作業方法のすべてと関係する。取り上げられることになる問題の中には、「労使当事者の提訴権、全職業協約、部門別協約、企業協約の関連づけ、組合の権利、中小企業および手工業における労使対話、労働団体の情報手段」などがある(CGT のベルナール・チボー書記長は、労働団体間に意見の違いがある組合代表権の問題もこの交渉テーマの枠組みの中で取り組むことができると明確に述べた)。
  • 「失業保険、不安定雇用対策、若年者の社会的統合」。ここで取り上げられるテーマには、「長期失業者の状況、1999年12月23日の協約の続編」などがある(MEDEFのセリエール会長は、期間の定めのある雇用契約および期間の定めのない雇用契約と並ぶ「新たな雇用契約」の問題と取り組むことを確認した)。
  • 「労働衛生、職業リスクおよび労働災害の防止」(同会長は、「労働者と企業の生活に近いテーマなので、迅速に進めることが必要だ」という)。
  • 「補足退職年金制度の改革」。
また、以下のテーマは優先課題の後で取り組まれることになる。
  • 「職業訓練の適正化」。ここで確認される問題には、「既存の措置に関する総括の実施、および制度の適正化方法」などがある。
  • 「職業の平等」。
  • 「管理職の地位と役割」。
  • 「社会保障の課題(医療、老齢、家族)」。

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