2月1日から週35時間制法実施
―86%の企業は協約未締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

2000年2月1日、従業員20人を超えるすべての企業に対して、フランスの法定労働時間は35時間になる。従業員20人以下の企業の場合、この労働時間が実施されるのは2002年1月1日からである。週労働時間が39時間に設定された1982年1月16日のオルドナンスから18年後、そしてあの1997年10月10日の雇用会議(政府と使用者たちとの際限のない対決の始まり)から2年後に、ようやく新たな段階を迎える。今後は、労使間の現場へと舞台が移される。労働時間短縮に関する第2法が1999年12月15日に国会で成立し、1月19日に公布されたことで、政治的な局面は終了した。

しかし、なすべきことはまだ数多く残されている。民主労働同盟(CFDT)によれば、民間部門の場合、従業員21人以上の10万企業がいまだに週35時間制協約を締結していない。これまでプロセスから遠ざけられていた公務員の場合は、交渉がまだ始まったばかりである。1月14日に雇用省が発表した最新のデータによると、1998年6月以降2万3275協約が登録されており、労働者総数1400万人余の273万6707人がその対象になっている。これらの協約によって創出もしくは維持された雇用の数は15万9515人である。これはまだ始まりにすぎない。1月31日、週35時間制実現に深くかかわった CFDTは、500万フランをかけて労働者向けの情報キャンペーンを展開すると発表した。大都市では、「あなたなしに週35時間制は実現されない」というポスターが貼り出される。CFDTでは、ジルベール・フルニエ全国担当と各県に1人の調整役をトップに配し、交渉の訓練を受けた7000人の動員計画を提案している。協約の半数は組合のない企業で締結されている(この場合に組合から「委任」された労働者が交渉にあたる)ので、CFDTはこれが新加入者を募る絶好の機会だと考えている。

労働総同盟(CGT)は組合員に2月1日の全国動員デーへ参加を呼びかけている。一方、労働者の力(FO)は、賃金、失業保険、退職年金に関するデモを組織するために、この日を選んだ。オブリ雇用相は1月28日、「事態を進めるためには紛争が必要だし、状況を打開するためにも紛争が必要だ」とコメントした。しかし、雇用相は、「毎週協約に調印している1500企業と比べれば、これらの紛争は限定的なものにすぎない」と見ている。

1月29日、オブリ第2法を実施するために最初の3デクレが発表された。これらのデクレは、賃金明細書、社会保障負担の軽減、そして企業が利用するコンサルタント支援制度に関するものである。複雑な制度に従い、所得水準に応じて逓減する社会保障負担の減免は最低賃金(SMIC)水準で2万1500フラン(1フラン=15.03円)に達する(使用者負担の86%)。そして企業の集団的労働時間が32時間に短縮された場合には、雇用1人あたり3500フランの追加的控除が定められている。この場合賃金が SMIC 水準だと、使用者負担額は全額が払い戻されることになる。企業はまた、専門会社のアドバイスも利用できる。1日あたり5500フランに設定されているその費用は、最初の5日間については全額、それ以降は従業員200人未満の企業の場合70%、従業員200~500人の企業の場合50%が国から払い戻される。

2月1日にはさらに4つのデクレが発表される。その内容は、援助の恩恵から除外される企業、特別制度(鉱業労働者、海員、公証人補)の負担の軽減、時間外労働の割当枠(年間130時間、労働時間年計算の場合は90時間)、そして労働時間の管理である。さらに、2月半ばには、協約違反に対する罰則と従業員投票に関する4つのデクレが予定されている。形式上、時間外労働が段階的に引き上げられることを除けば、従業員21人以上の企業にいかなる制約もない。週35時間制は少なくとも2年間続けられる。

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