都市部労働者の給与と失業

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)と国家統計局が共同で行った調査によれば、1999年7月1日現在、都市部労働者の平均月収は52万9000ドン(100ドン=0.75円)であった。経済部門間の所得格差は顕著ではなく、一般経済部門で働く労働者が最も高い給料である月収68万5300ドンを得ており、これに集団セクターでの平均月収56万6400ドン、民間部門の56万300ドン、国営部門の50万5000ドン、家族経営部門の49万4600ドンが続く。職種別では、生産設備を取り付けたり操作する熟練技術者が62万2000ドンと最も高い月給を得ている。

国営部門労働者の給料は他の部門における給料よりも低い。その上、国営部門における処遇は平等主義的で、専門技能の水準に給与水準が適切に対応していないという問題がある。対照的に非国営部門では、高い専門技能に報いる給与体系を採用する企業が顕著に増加した。今後、熟練労働者を養成するために、国営企業は新たな給与体系を構築する必要がある。

失業

1999年7月1日現在、15歳以上の都市労働者の失業率は7.15%で61万4700人が失業していた。このうち、専門技能を持たない都市部労働者の失業率は8.3%、専門技能を持つ都市部労働者の失業率は4.88%であった。1996年から1999年まで失業率は平均で年16%増えた。1999年7月の失業状況を1996年に比べると、熟練労働者、単科・総合大学卒業生、大学院卒業生で失業者が増えているのとは対照的に、技術者と入職レベルの労働者の失業率は4.18%まで低下したことが目立つ。

技術者と入職レベルのグループで失業率が5%を超えている分野は運送、製造などで、特にマス・メディアと情報関連業では失業率は50%を超える。職業訓練校および高等学校卒業生のグループで失業率が9%を超えている分野はコンピュータ・サイエンス(52.54%)、ホテル、旅行、建設(10.69%)、エンジニアリング(9.16%)などである。単科大学卒業生では、失業率が8%を超えている学部はコンピュータ・サイエンス(57.78%)、エンジニアリング(9.24%)、ビジネスと経営(9.36%)、芸術(9%)、人文科学(8.24%)である。総合大学卒業生では、農林水産分野における失業率は11.13%、人文科学10.43%、自然科学6.56%などで高くなっており、この他、ホテル、旅行、運送業などで失業者が多い。大学院卒業生で失業する者も増えつつある。以上を総合すると、現在行われている職業訓練が、労働市場で需要のある職業技能に十分対応していないことがわかる。したがって今後、政府が職業訓練を再編成し、特に失業率の高い分野における職業訓練を削減したり、合弁企業と協力して職業訓練の内容を調整するといった試みが必要である。

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