ハンガリー/周辺弱小部門従業員の賃金は最低賃金を下回る

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

ハンガリー経済においては、労働力のうち相当の割合が労働契約を結ばずに雇用されており、支払われる賃金は最低賃金以下である。このような状況は、主に衣料産業などのセクターにおいて顕著に見られる。最近、衣料部門に勤める3万8000人を超える従業員が、全国労働安全監督局に所属する労働基準監督官の調査の対象となった。その際、340の事例において、使用者が「労働基準監督官」に対し雇用契約書を提示することができなかった。使用者の主張は次のようなものであった。すなわち、新規従業員の能力を調べる目的で、1~2日の検定のために雇っただけであるというのだ。しかしハンガリーの労働法には、いかなる雇用関係においても、新たに雇用した従業員と労働契約を交わす義務がある旨規定されている。

使用者が、最低賃金及び労働時間に関する規定を守っていない事例が多く見られた。この全国規模の2日間の調査で、法定最低賃金に満たないと判明した従業員の数は700人にのぼった。東部のサボルチサトマールベレグ州において労働基準監督官が把握した、賃金が法定最低賃金に満たない事例は300を超えた。労働基準監督官は、134人の労働者の雇用を禁止し、このような雇用慣行を行っていた使用者に対し、3200万フォリントを超える罰金を科した。外国人労働者が就労の許可を得ていない場合が多かった。外国人労働者の就労分野に関する最近のレポートによれば、彼らの大部分が、スポーツ・カルチャー・娯楽事業や衣料産業に従事している。こうした状況を生んでいる主な理由は次の通りである。すなわち、輸出志向の衣料工場が、自国の熟練労働者を充分に確保することができず、代わりにウクライナやモンゴルといった遠方の国から外国人労働者を募っているのである。

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