ハンガリー/2000年の最低賃金に国が同意、告賃上げ率は未定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

政府は、2000年に適用する法定最低賃金を2万5500フォリント(1万2000円相当:原文のまま)程度とする案を受け入れた。全国労働評議会(National Labour Council)(注1)の社会的パートナー(労働組合と使用者連合の双方)は、政府が支持する前からこの水準について既に合意に達していたが、政府代表の拒否権により最終合意が阻まれていた。2万5500フォリントという水準は、1999年の最低賃金額と比較すると13%アップとなる。(これに関して注目すべきは、ハンガリー経済のうち農業部門においてこの水準の最低賃金額が適用されるのは2000年7月1日からになるということである。

今日まで、年間賃上げ率につき、全国労働評議会の社会的パートナーがどのような提案をしたかはわかっていない。現在の社会的パートナーの見解は以下の通りである。

  • 政府は、平均年間賃上げ率を7.5~8.5%程度とするよう提案している。
  • 労働組合は、平均年間賃上げ率を12.5~13%程度とするよう提案している。
  • 使用者団体は、平均年間賃上げ率を8~10%程度とするよう提案している。

全国労働評議会で交渉が行われ、使用者と労働組合共、政府提案を受け入れられないということで意見が一致し、改めて提案を出すよう、共同で政府に要請した。しかし政府代表は、利害の相違から当然年間賃上げ率の提案に相違がでると了解したが、更に交渉を進めるためには使用者及び労働者双方が見解を変える必要があるとした。年間賃上げ率を7.5~8.5%程度とする政府の提案の背景には、次のような理由がある。すなわち、政府はインフレ率を下げたい意向であるが、より高率の年間賃上げ率提案が、その妨げとなる恐れがあると考えているのである。

しかし労働組合側は、政府が新しい案を提出しない場合、合意に達するために労使間での交渉(政府の参加を得ず、使用者と労働組合だけで交渉を行うこと)を開始する。労使合意の場合、労働組合は、セクター・職場両レベルにおける賃上げ交渉の場においてその年間賃上げ率を提案する予定である。

  1. 旧利害調停協議会(CIR)に代わり、1999年夏に設置された。

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