MEDEFが労使共同運営機関からの離脱を決定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

フランス企業運動(MEDEF)は2000年1月18日、年次総会で採択された7つの決議に基づいて労使共同運営機関から離脱することを決定したが、労働団体と新たな土台に関して合意を得るために、一定の条件の下で離脱を2000年末まで延期することになった。これが承認されたMEDEFの基本的な立場である。7つの決議は最低でも83%以上の得票を獲得した。MEDEFの総会に出席した591人の代表のうち、561人が投票権を有していた。380人は業界連盟代表、170人は地域連盟代表、10人は実行委員会メンバー、そして会長自身である。

MEDEFは、2000年12月31日までに労使共同運営社会保障機関すべてのMEDEFの参加に終止符を打つことを95.8%で決定した。その目的は、ほとんどすべての労使関係分野を見直し、この期限までに労働団体と真の「労使関係の再構築」を実現することにある。最初の労使会議は2月3日に予定されている。このときに話し合いの時程、優先課題、用いられる方法を決めることになる。

総会は、2000年12月31日までに(UNEDICは例外)労働団体と次の結果に到達することを目指すために、MEDEFへ全権を委任した(賛成98.9%)。

  • 失業保険:2000年6月30日(旧協約はこの日まで延長された)までにUNEDIC新協約を交渉。UNEDIC協約は、雇用喪失リスクの保証に関する見直し、コスト抑制の厳格な遵守、そして有効な求職活動の動機づけの強化という3つの目的に対応していなければならない。
  • 医療保険:新たな医療保険制度の基盤を定義(費用/効率比の改善)。
  • 退職年金:保険料を値上げせず、退職年金受給開始年齢の選択を自由化し、任意積立保険へのアクセスを可能にするという3つの目的を持って、新たな拠出型退職年金制度について交渉。
  • 家族:家族負担の調整を可能にする新給付システムに向けての提案。
  • 労働衛生:システム近代化に関する交渉と独立的な労災制度の定義。
 MEDEFはこうした選択を根拠づけるために、1999年12月に中小企業総連盟(CGPME)および各労働団体と作成した社会保障と労働関係に関する「共通診断」に依拠する一方、欧州建設の深化、技術進歩の加速、人口の老齢化など、これまで十分に検討されてこなかった「数多くの基本的な変化」も引き合いに出している。

しかし、2000年12月30日までに労使が合意に到るか、MEDEF自身によって重要と判断される前進がない限り、あるいは事後に法律や規則を整備することだけを求められている国が、ルールを守らずに、労使協議に介入しようとするのであれば、MEDEFの労使共同運営機関からの離脱は法的にも実際的にも影響力を持たないだろう。

MEDEFは、週35時間制第2法の「抜本的な改正」(廃止ではない)を行うために総会から明示的な委任を受けた(賛成98.6%)。企業の労働時間調整に関する規定は今後欧州一般の場合のように、団体協約で決めるべきであり(98.4%)、CGPMEが要求しているように、従業員20人以下の企業は週35時間制へ移行する義務を免除すべきだ(83%)という意見が圧倒的である。また、産業部門は第2法の非適用を可能にする手段を見つけるイニシアチブが残されており(92.3%)、企業は「法律に定められている猶予期間を利用する方が得」だと考えている。

MEDEFは総会で、「労使関係再構築」の青写真と労使交渉の新たな分野を明らかにした。この新分野には、職業訓練や新労働契約の他に、組合代表権の問題も含まれる。とくにドニ・ケスレール副会長は、単に期間の定めのある契約と期間の定めのない契約を分ける単純な区別だけでは満足していない。

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