失業率低下しかし高率維持

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

ブラジル地理統計資料院が計算する6大首都圏の国家の公式失業率は1999年に平均7.6%となった。1998年と同率であり、さらに12月の失業率6.3%も1998年12月と同率と偶然が重なった。この12月の6.3%は11月から1ポイント下がったとは言え、12月の指数としては、調査を開始して以来の最高記録である。さらに就労者の平均所得は集計が終わった1~11月に、前年比で5.3%低下した。特にサンパウロ首都圏では、7.3%低下している。11月の所得水準低下は1999年中続いた低下傾向の維持を証明する。11月を前年同月比にすると8.6%の所得低下になると発表した。1999年は全ての部門で所得低下が起こり、1999年11月は、1998年12月比で工業は7.4%、商業4.5%、サービス4.5%とそれぞれ低下した。また正式登録労働者の所得は4.1%、自営7.1%、非公式労働者は1%低下した。

高い失業率が続いているが、資料院の雇用所得局の経済コンサルタントによると、11~12月の結果は今後に期待を持たせる。ことに工業は過去4年間連続して雇用を減少させる一方であったものが、11月は前年同月比で2.4%、12月は3%増加と2カ月連続プラスに転じた。サンパウロ首都圏では1999年中に工業雇用は149万1592人から、154万2119人へ増加した。調査担当者は、2000年のGDPが3%成長する予想(政府は4%成長予想)から、さらに楽観視している。資料院では2000年の雇用増加率は土木建設、サービス、製靴、繊維など労働集約部門の動向次第で決まると発表している。

近年は正式雇用契約が毎年減少しており、1999年も正式契約が3%減少して、非公式就労は4%増加、自営労働も1.9%増加して、雇用市場の困難さと、所得の低下、労働市場の質の低下を証明した。調査担当者は上記の状況だけで市場の質の低下は判定出来ないために、2000年から質を図る多くの項目>調査すると発表した。

10年で年平均失業は4.3%から7.6%へ

資料院の公式失業率は1990年の4.3%から1993年は5.3%、1994年は5.1%、1995年は4.6%に下がって一時期待を持たせたが1996年以降は上昇一途に戻り、1999年は7.6%増加した。ただ1999年は政府でもGDPは4%後退すると、厳しい予想を出したために、民間では公式失業率が10%に達する悲観予想を持っていたが、GDPがゼロに近い水準となって、予想ほど悪化しなかった。この10年間の増加は製造業の雇用減少の歴史でもあり、1990年に国内雇用全体の23.8%を占めていた製造業雇用が、1999年には16.3%へ、建設も7.3%から6.9%へ低下した。同期にサービス部門は47.5%から54.4%へ、商業は14.3%から15.1%へ増加させた。また1990年代は労働市場の質の低下の年代でもあり、1990年に、登録が少ない自由業を含めて、全就労者の公式労働登録は56.9%であったものが、年々減少して1999年は44.5%となった。給与所得者の内、登録しない割合は1990年に全就労者の19.1%だったものが、1999年は26.4%となり、自営は同期に18.5%から23.6%へ増加した。15歳以上の総人口に占める経済活動人口は1990年の58.9%が、1999年は52.8%へ低下した。非経済活動人口は1990年に年間2.6%増加したものが、1999年4.3%へ増加した結果だと説明された。

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