実力給導入企業、増加中

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

国内の長く続いたインフレのために、多くの企業では消費者物価指標に基づいた従来の賃金制度を見なおす時期にきていることを多くの経営者が感じていることが明らかになった。

インドネシア国内150の企業のサーベイによれば、1998年には77.63%という高いインフレ率であったにもかかわらず、給与の平均増加率は18.31%の伸びにとどまっている。

1997年に経済危機が勃発したときには、インフレ率が11.05%であったのに対して、給与の平均増加率は16.39%であった。

1999年は、給与の増加率は21.41%、インフレ率は5%以下を保っているという。この数字の背景には、経済が安定したという面だけでなく、より多くの使用者がインフレ率を給与の基準にするだけではなく、個人の業績を反映させるような方針を採用していることが窺われる。

サーベイを行ったPTワトソン・ワヤット・パバジャガ社長リリス・ハリム女史によれば、これまで、アジアの企業は、業績に応じた給与制度をなかなか導入したがらない風潮があったが、そのような風潮は経済危機によってグローバルスタンダードである西洋型の実力給制度にあわせて、見直さざるを得なくなったという。

実力給を導入している企業は、押しなべて企業の効率性が高いと言われている。昇給制度の見直しも企業の再構築制度の一環であり、従業員に働くモティベーションを持たせるための方策である。経済不況時に各企業に共通であった労務管理問題は、福利厚生制度の廃止や人員削減などから派生する従業員のモティベーションの低下であった。

リリス女史は、経済危機が起きる前までは、多くの重役達は多額のボーナスと莫大な維持経費のかかる施設を与えられていたが、今では多くの企業が高金利のために自動車や住宅のためのローンなどを見合わせているという。

危機によるもうひとつの変化は、外国人役員が帰国したために、地元役員が増加したことである。企業は、能力のある人材ならば、高い給与で雇うことを厭わなくなってきている。その結果、外国人役員と地元役員との給与の差は小さくなっているという(しかし、外国人顧問は、通常給与以外に住宅や自動車などの多額の手当てを受けている事実を考慮に入れれば、いまだ給与の格差は存在するといえるかもしれない)。

ちなみに、同社の11産業におけるサーベイによれば、2000年に給与引き上げ予定と答えたのは、運搬業(25%)、金融業(22.6%)、生命保険(20.71%)、外資系銀行(18.91%)、情報技術産業(17.46%)、医療薬品(17.13%)、流通(15.59%)などとなっている。

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