国営建設業で一時解雇者増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

ベトナムの記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年2月

経済停滞の影響を受け、建設省傘下の国営建設業で一時解雇者が増加している。同省の統計によると1999年第3四半期末時点で同省全体で13万4304人を雇用している。その内訳は労働者13万764人、行政スタッフ3540人、管理スタッフ282人だが、うち1万7301人(13%)に仕事がない。そのうちの4430人の建設労働者は3年以上仕事を与えられていない。建設省のグエン・アイン・タム人事部副部長は、1999年末までに、大規模発電所建設工事の終了に伴って新たに約1万人が失業するであろうと警告している。同部長は「現在、建設事業が減少しているため、我々にできることは限られている。」と述べている。実際、建設省は仕事のない労働者のために、縫製、梱包、消費財製造業といった非建設業分野でも仕事を創出しようとしている。それでも統計によれば新しい求人は、実際の求職希望の約3割を満たすにすぎない。

何年か前までは建設業で多くの仕事があったが、今では状況が一変した。建設労働者の多くが他の産業でも通用する技能を持っていないため、彼らの転職機会は限られている。例えば、ある38歳の男性建設労働者には3人の子どもがいるが、火力発電所の完工以来3年近く仕事が無い。建前上は建設省傘下付属機関に勤務しているが、バイクを使ったタクシーで生計を立てている。彼の勤め先からは仕事があれば呼び戻すと言われているが、それも約3年前のことで以後は全く音沙汰がない。この間、勤め先からは失業手当などといったものは何も支給されておらず、貯蓄した金で2年前に親戚から中古バイクを買い、現在の仕事を始めることができたという。一時解雇された建築労働者の多くが類似した経験をしており、対策として職業訓練が必要なことを物語っている。

2000年2月 ベトナムの記事一覧

関連情報