新宮沢構想、続行決定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

時報1999年8月号でお伝えした新宮沢プランの続報である。新宮沢構想とは、日本からの530億バーツの融資をもとに新しい雇用を生み出し、経済危機による失業問題を緩和するという趣旨で1998年より開始された。タリン蔵相によると、このプログラムによってすでに40万の雇用が創出され、経済成長に1%貢献できたという。これらの制度で設けられた雇用の就業期間が1999年11月または2000年3月に終了することを受けて、タリン蔵相はプログラム延期のための更なる借り入れは行わないことを発表した。理由としては、国の債務が増加してきているために、今後の海外からの借り入れに関しては慎重に検討していきたいという点、さらに政府の雇用提供は一時的なものであり、長期の雇用を提供するという意図はないため、としている。

このプログラムで職を得ることができたのは、主に大学の新卒生で、地方農村に1年間の契約で様々な仕事に取り組んでいる。地方政府側では、新卒生の仕事振りに満足しており雇用の延長を求める声が出ている。宮沢構想の資金が、地方政府によって流用されていたなどの問題も指摘されているが、サヒット首相府相は、現在までのところこのプログラム続行のために60億バーツの追加融資を希望する声が上がっているという。

1つは内務省のプログラムにおいて大学新卒者が農村で教職につくというもので、同省は2000年3月以降も彼らに引き続き教鞭に立ってほしいと表明している。もう1つは、労―省で、このプログラムが終了すると、失業者が増加し、政府の負担が大きくなる可能性があるため、新たな短期的雇用の提供と、10億バーツの追加支援を要請した。

チュアン首相はこれらの要請に同意し、1999年12月に各省との合同協議会で検討したいとし、タリン蔵相プログラムの続行を日本からの資金借り入れではなく、政府の予算でまかないたいとした。そして、このプログラムで地方行政に任務を遂行させることで、地方分権推進の考えもあるようだ。その後1999年11月10日に政府は、雇用創出プログラムに8億8400万バーツの資金を追加することを発表した。

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