リーボック工場の労働環境

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

アメリカ・マサチューセッツ州ボストンに本社を持つ多国籍企業リーボック・インターナショナルが1998年の8月から14カ月にわたり自社工場の労働環境調査を行い、2つのインドネシア工場(PT Tong Yang Indonesia, PT Dong Joe Indonesia)の労働環境が基準を大きく下まわっていることを明らかにした。

この41ページに亘るレポートによれば、健康面では、2つの工場の約1万人の従業員のうち、多くが靴製造労働者が肌のかぶれや頭痛に悩まされており、設備面ではエレベーターや女子トイレの数が大幅に不足しているという。

靴製造工場の労働環境の問題については2年前にナイキ工場の問題で大きく批判されたが、その後改善されたかどうかについては明らかにされていない。

リーボック社は人権問題に関するイメージアップを急速に図ってきており、企業の従業員にも人権問題が起こっていないかをモニタリングする管理者を置いている。

しかしながら、同社やナイキの工場労働者賃金は、インドネシア政府が定める最低賃金の約25から40%にとどまっている。

さらに、労働者からの苦情で最も多いのは、作業中に化学物質を直接触るために肌あれ・かぶれがおきることである。また、頭痛の苦情も多く、原因は換気が不充分なためと見られている。同社では有害な煙・臭気を効率的に除去する新しい換気システムの導入を検討中であるとのことである。

このような問題は、企業側が労働者に対して化学物質の扱い方や有事の際の対処法に関してきちんとした教育をしていないがために起こる問題である。また、作業に用いられる化学物質のほとんどは英語で説明が書かれているので、同社では販売元にインドネシア語での説明表記や、従業員に対して安全セミナーを開くなどの措置をとっているという。

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