労組議長、労働大臣に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

ワヒド大統領、メガワティ副大統領の新内閣が発足し、労働相は全インドネシア労働者連盟(FSPSI)の議長であり、元ゴルカルの国会議員でもあったボメル・パサリブ氏が就任し、1999年11月3日に前労働相であるファミ・イドゥリス氏から引継ぎを行った。ボメル氏は就任にあたり、国内の高い失業率を解消することを当面の第一目標として、努力したい、と抱負を語った。そして、失業率は深刻な問題であり、政府だけでなく産業界や NPO(非政府組織)からも解決のための糸口を見つけていかなければならない、と述べた。

インドネシアの失業率は統計によって差があるが、労働力省の統計によれば約2500万人、FSPSI(全インドネシア労働者連盟)の統計によれば、4000万人の失業者がいると推測されている。

高い失業率の背景には、経済危機によって労働市場に吸収されない大学新卒者・中退者の存在と、企業の倒産によって失業した労働者の存在がある。ボメル労働相は、失業問題は迅速な対応がとられない場合、国内の政治に大きく関わる問題であるとし、ソーシャル・セーフティネットプログラムのもとで、労働集約的なプロジェクトを拡大し、中小企業の支援により失業者を吸収できるよう、検討していきたいと述べた。また、労使関係改善のために、政府は労働者の権利を保障するILO条約に調印する予定であることを明らかにした。

その一方で、ボメル氏の労働相就任に反対の声も出ている。同氏がFSPSIの議長時代に労働者の権利保護のための海外援助資金を流用していたということや、スハルト元大統領の抑圧政治に関わっていたなどの問題が明らかにされており、労働活動家やインドネシア汚職監視団(Indonesian Corruption Watch)はボメル氏の就任に反対の意を表明している。

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