閉店法自由化論議高まる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

ドイツの記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年1月

この数カ月間、東独地域で閉店法に反する小売店の日曜営業が自治体の解釈で認められ、これが裁判所によって差し止められる動きがあり、1996年11月に改正された現行閉店法に注目が集まっている。このような中で、6大経済研究所の1つミュンヘンのIfo研究所とドルトムンドの社会研究所(sfs)が、政府の諮問により個別に現行閉店法の実施状況の調査を行い、IFO研究所が1999年10月半ばそれに基づいて同法の自由化を進める勧告を行って、閉店法自由化を巡る議論に火が付き、各方面でかまびすしく議論されている。賛成する消費者団体、小売業界、与野党を問わないいくつかの州や多くの自治体等と、あくまで反対する労働組合と教会の意見の対立を生じ、政府がこの中間に立つという様相を呈している。

現行閉店法は1997年1月1日から施行され、全国一律に開店時間は、月曜から金曜は6時から20時、土曜は6時から16時、クリスマス前4週間の土曜日は6時から18時までとされ、日曜は開店禁止とされている。

Ifo研究所の調査では、現行法の下で小売業の売上高の63%を占める全体で23%の店舗が、20時までの開店時間をフルに利用しており、全体で約半分の店舗が売上高の上昇を記録している。ハンス・ヴェルナー・ズィン同研究所所長は、開店時間を制限することに経済的に確固たる根拠はないとしている。そして同研究所は、ウィークデイに関しては閉店法を撤廃すべきで、金曜と日曜については規則を各自治体に委ねるべきであり、クリスマス前4週間の日曜日は全国一律に開店すべきだとしている。

賛成派の意見は、閉店法の完全撤廃から日曜だけ閉店を守るとするもの等様々な内容だが、賛成する州は、州代表機能をもつ連邦参議院の場を利用して自由化を働きかける動きを見せている。

反対派の労組、特に商業・銀行・保険労組(HGB)と職員労組(DAG)は、前者がストライキも辞さない構えを見せており、自由化によって殺人的な競争が齎され、小店舗の店じまいが引き起こされると主張し、その際閉店法の自由化は雇用削減を止め得ないとするIfo研究所と反対意見の社会研究所の鑑定を引き合いに出している。

シュレーダー首相は、日曜開店に強く反対する教会と労組を考慮し、日曜労働の禁止は文化的制度だとして日曜開店に反対し、現行法の自由化は教会と労組の合意を得て、社会的一致がある場合にのみ実現すべきだとしている。

政府は遅くとも1999年12月初めに、開店時間を長くした現行法の過去3年間の実施状況について連邦議会に報告する予定であり、それを契機とする議論の進展と閉店法の自由化を巡る今後の動きが注目される。

関連情報