6大経済研究所、秋季景気動向・労働市場予測を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

6大経済研究所による1999年秋季の経済動向予測が10月26日に発表され、税制改革、年金問題等内容は多岐にわたり、政府の法人税改革等の批判を含むが、景気動向と労働市場予測については以下のごとくである。

景気動向については、1999年の経済成長率は1.4%(昨年は2.2%)、2000年は輸出の拡大によって2.7%になると予測されている。輸出は、1999年2.8%(昨年7.0%)、2000年は6.9%と予測され、消費者物価は、1999年は0.6%、2000年は1.2%で前年の2倍になるとの予測である。

労働市場については、就労者数は、1999年は3611万5000人(昨年3599万9000人)、2000年は3623万人になり、失業者数は、1999年は410万5000人(昨年は427万9000人)、2000年は390万人になり、失業率は、1999年は10.2%(昨年は10.6%)、2000年は9.7%になると予測されている。就労者数については、西独地域では増加するが(1999年2951万5000人、2000年2966万5000人)、東独地域ではむしろ減少する(1999年653万500人、2000年650万人)だろうと予測されている。

若年失業者対策のための60歳早期年金制度については、6大研究所の評価は否定的である。この制度については以前から多方面で議論されており、これを前面に出すIGメタルの強い主張と使用者側の異なるプランが現在根本的に対立しており、政府はこの数カ月間この制度に反対の立場だった。しかし、リースター労相が1999年10月半ばにIGメタルの主張に妥協し、以後政府・労働側と使用者側の対立という形になってきている。だが同研究所は、今までの経験によると、早期退職の労働者の雇用枠は半分も新たな雇用に結び付いておらず、この制度の直接的な雇用効果はあまり期待できないとしている。さらに、この制度の財源確保のために設ける協約賃金基金については労使が折するので、使用者側にとって労働コストが高くなることもあり、新たな雇用の創出につながらないだけでなく、雇用の削減と経済全体の生産性に反する作用を齎すだろうとしている。

さらに同研究所は、賃金政策に関しても、労働時間の短縮とか労働の分配ばかりに重点をおくのでなく、新たな雇用創出が目指されねばならないとしており、今年度の協約賃金交渉でも労使が控え目な賃金額で妥結することを推奨している。

この秋季予測に対して、アイヒェル蔵相は景気や失業率の予測等、全体としては政府の施策が評価されているとしているが、野党CDUは、政府の税制改革等根本的な批判が展開されているとしている。ちなみに労働側は、控え目な協約賃金妥結につき同研究所の意見を強く批判している。

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