AFL-CIO定期大会で民主党ゴア氏支持決定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

米国労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)は、1999年10月11日から3日間、カリフォルニア州ロサンゼルス市で第23回定期大会を開いた。1995年の会長就任以来、A組織化活動に重点をおいているジョン・スウィーニー会長は、具体的な取り組みとして(1)1998年には1997年に比べ2倍(約280人)の組合員がオルガナイザー・トレーニングに参加、(2)大学生などの若者が地域社会で組合活動を経験する「ユニオン・サマー」が3年目にはいった今も拡大を続けていること、(3)新たに設置した全国労働大学の卒業生として88人の組合リーダーがカレッジ卒の資格を得たことなどを紹介した。さらに同会長は組織化活動により、1998年だけで47万5000人が新たに組合員になったと報告した。大会での報告によれば、1999年の組織化は1998年を上回るペースで進んでいる。

また、地方自治体で進んでいる生活賃金(リビング・ウエイジ)条例制定への取り組みも重点課題とした。この条例は自治体と契約する企業に対して最低賃金よりも高い生活賃金の支払いを義務づけるもので、1994年のボルチモア市以来、現在まで29の市で条例となっている。大会では、現在40の自治体で制定に向けた取り組みが進んでいると報告された。

2000年の大統領選候補者として、ゴア副大統領への支持を決定した。しかし全米自動車労組(UAW)、全米鉄鋼労組(USWA)、チームスターズ労組は、ゴア氏の貿易政策が曖昧であるとし、支持決定を遅らせてさらに左寄りの政策へと誘導することが必要であるという立場から、支持を決めるのは時期尚早であるとして反対した。民主党ビル・ブラッドリー氏がゴア氏よりもリベラルな路線で予想外の支持を集めていることから、ゴア氏支持に二の足を踏む向きもあった。しかし多くの人々から合意形成者と目されているスウイーニー会長は、ゴア副大統領支持に向けて、労働組合が長期的な目標を達成するために一丸となって協力する必要性を強調した。AFL-CIOとしてゴア氏支持になんとか漕ぎ着けたのは、ゴア氏に対して組合員が熱意を持っているというよりは、組合活動に活気を取り戻したスウイーニー会長の説得力によるところが大きいという見方もある。

AFLとCIOが1955年に合併して以来、AFL-CIOは現在の体制を維持してきたが、44年間で初めての重要な組織改革に乗り出すことを大会で決議した。これまでは、それぞれの州本部あるいは地方本部(Labor Council)が独立に行動することが多かったが、今後は中央本部がより大きな権限を持ち、全ての州本部や地方本部に行動目標を設定していくことになる。その狙いは、各地方組織が同じ目標を達成するために全国規模で協力するこ_ニによって、組合活動を強化し、さらに労組の政治的活動を効果的に進めることにある。州単位の組織改革としては、州内の労組指導者から成る「新たな同盟(the New Alliance)」を形成し、州本部や地方本部それぞれに対して中央の執行評議会が設定した役割や使命に照らし、それらの地方組織の活動状況を検討した上で、指導力が低下した地方本部の統廃合を行う一方、必要に応じて地方組織を創設するといった活動を展開していく。この際、各州の具体的な活動計画は各州の「新たな同盟」が立案する。現在、資金や人材の不足から、AFL-CIOの主要目標である新組合員勧誘を行うことができない地方組織も存在し、長い間改革が必要とされながら後回しにされてきた。

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