CGT、共産党主催の雇用を守るデモに不参加を決定

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

10月7日、労働総同盟(CGT)の執行委員会は共産党が呼びかけている16日の雇用を守るデモに主催者として加わらないことを決定した。CGTはこの決定について、「このデモが現在の状況の中で著しく政治的な行動に映るからだ」と説明するとともに、参加については「各労働者に市民として自ら決定するように」求めた。

CGTはこの象徴的な行動によって、2月の第46回大会に決定された自主独立方針を確認している。ベルナール・チボー書記長は執行委員会の席で、「いまやすでに100周年を超えた組織が独り立ちする時期にある」と発言したという。一方、共産党のロベール・ユー全国書記は8日、フランス・アンテールでCGTの「アプローチは理解できる」と述べた後で、「今朝からCGTはデモへの参加を呼びかけないとの報道が目立っているが、デモの成功を妨げようとする意図も窺える」と付け加えた。また、同全国書記は「共産党とCGTを対立させたいと願っている人たちの試みは失敗に終わるだろう」と言明した。

CGTは長年にわたり共産党のパイプ役を務めていると考えられてきたが、近年は共産党色を薄め、組合の独立性を印象づけようとする試みも少なからず見られた。多くのCGT幹部が共産党の指導機関に席を占めている状況をグラジュキー元書記長が批判したのは、ソ連が崩壊し、ベルリンの壁が取り払われた後の1991年であったが、大きな変革を経験するまでにはさらに何年かの時間が必要であった。すなわち、ルイ・ビアネ前書記長が共産党全国事務局のメンバーを辞任することになったのは、ようやく1996年の第29回共産党大会のときにすぎない。

共産党が連立政権に加わった後初めて開かれた1999年の第46回CGT大会で、チボー新書記長は自らのナショナルセンターの独立性を再確認するとともに、政府に対してもその構成ではなくその行動に基づいて対応していくことを表明した。CGTと共産党の両リーダーが認めているように、両組織は今後とも強い絆を維持していくものと思われるが、CGTが独り立ちへ向けて一歩踏み出すために共産党へ「ノン」と発言した象徴的な意味を決して過小評価するべきではないだろう。

なお、チボー書記長は個人の資格で16日のデモに参加すると表明している。

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