週35時間制第2法案:国民議会での審議開始

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

週35時間制第2法案は9月30日に国民議会社会問題委員会での審議を終え、10月5日からは国民議会本会議での審議が始まった。9月7日に開始された委員会の審議では、550の修正案が提出され、そのうちの70ほどが採択された。しかし、修正された法案のテキストに対しても連立与党の一致した支持は得られず、内容の強化と明確化を求める共産党は反対票を投じ、緑の党は棄権した。委員会で修正された主な内容は以下の通りである。

管理職のための措置

個人請負契約への依存は、契約を年間、月間、もしくは週間のいずれかの基準に基づいて締結することを内容とする団体協約が前提となる(法案では、年間にわたる請負契約の場合にしか団体協約の必要性を定めていなかった)。この団体協約は、個人請負契約の対象とすることができる管理職のカテゴリー(反対に、集団的労働時間に従って従事する管理職カテゴリーを定めることにもなる)や、この請負制の方法および主な特徴を明らかにしなければならない。

また、団体協約では、請負契約日に管理職がとる連続11時間の毎日の休息時間について、具体的な方法を定めなければならない(たとえば、「労働を何時に終了させなければならないのか」、あるいは「労働を何時に開始させることができるのか」など)。

さらに、請負契約制管理職の労働時間編成、労働日の労働時間、その結果である労働負担に関する調査方法を確立しなければならない。そして、請負契約制管理職には、週1回の連続24時間の休息と週6日の労働という労働法典の規定が適用される。

いま1つ、年間労働時間請負契約管理職の場合、法定を上回る週もしくは1日の最長労働時間を定められる可能性について、団体協約で条件づけることになる。この団体協約では、「この新たな協定枠の管理方法」と労働編成および労働負担の調査条件を明記しなければならない。

パートタイム労働

現在一部のパートタイム労働者について認められている使用者の社会保障負担30%減免措置は、法定労働時間が週35時間に短縮されてから1年以内に廃止される。

パートタイム労働者の労働契約では各労働日の労働時間配分を記さなければならず、労働時間配分を変更する場合には、協約で定めた代償を与えなければならない。協約で労働時間配分変更の場合に適用される猶予期間を7就労日以内に短縮することが認められている場合にも、代償を定めなければならない。

労働者の求めに応じてパートタイム労働を実施する条件については、団体協約で定めなければならない。団体協約がない場合、労働者は使用者に要求書(希望する労働時間とこの新労働時間を予定している日付を明記する)を提出することができる。この場合、使用者は、そのためのポストが存在しないか、その雇用の変更が企業の生産および順調な業務に悪影響があると立証できない限り、要求を拒否することができない。

労働時間およびその編成

最長週労働時間は連続する12週間で42時間を超えることができない。ただし、拡張部門協約があれば、現在と同様46時間とすることができる。

変形労働時間プログラムを変更する場合には、企業委員会の承認を受けなければならない(従業員代表がいない場合)。その猶予期間は7就業日となる。また、この猶予期間を短縮できる場合、協約にそれを正当化できる「業務の特徴」を記さなければならない。

社会保障負担の軽減

使用者が社会保障負担軽減措置を受ける権利は、期間の定めのない雇用契約で採用される労働者だけと結びつけられる。

週32時間制もしくは年間1460時間制への移行を決定する企業、あるいは週4日制以内で編成されることになる企業はデクレで定められる追加的な軽減措置を受けられる(SMIC の水準にある労働者1人に対し週35時間の場合は年間2万1500フラン(1フラン=16.02円)だが、週32時間だと年間2万5000フラン)。

従業員20人以下の企業は最初から国が定める補助を受けながら、2段階で週35時間制へ移行することができる。この場合、補助額は労働時間短縮の割合に応じて計算される。

法律実施後に設立される新企業は、既存の企業に適用されるのと同じ条件で、部門協約もしくは企業協約を締結し、これを遵守しなければならない。

SMIC

所得保障(賃金の差額補填)の恩典が、集団的労働時間の短縮後にフルタイムもしくはパートタイム(比例配分)でSMICの賃金を受けて働くすべての労働者、さらには新規設立企業にSMICで採用される労働者へ拡大される。

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