通勤相乗り労働者急増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

ジャカルタ市内の朝の通勤ラッシュに、小遣い稼ぎにと車に相乗りする人々(the three-in-one jockeys)が増加している。

ジャカルタ市の中心部である、スディマン通り、タムリン通り、ガトート・スブロト通りにおいて、1992年4月から「3人乗り規制区域」(The Three-In-One Passenger Restriction Zone)が設けられた。この区域は、朝の通勤渋滞を緩和することを目的に導入され、月曜日から土曜日の午前6時30分から午前10時までは、車1台につき3人以上が乗車していないと通行できないことになっている。(公用車は除く)

導入から7年が経過し、渋滞は減少したかのように見えたが、実際は他の通りが渋滞し、相乗り労働者が急増する結果となってしまった。

相乗りするためには、朝早くから規制区域の始まる道沿いに並び、車が止まるのを待つ。1回の報酬は千ルピア前後で、1日に平均4台の車に乗り約6千ルピアを稼いでいくという。主にホームレスやストリートチルドレンが「相乗り」をしているが、最近では、女性の姿が目立ち、実際3分の1が登校前の女子高生や大学生、主婦などが小遣い稼ぎに路地に立つ。女性の相乗り労働者の増加に伴い、ハラスメント行為などが顕著化しているという問題もある。

このような「相乗り」労働者の増加には、インドネシアの経済が回復していないという背景がある。社会学者のサルジョノ・ジャティマン博士は、この事例は、庶民の生計がその日の収支をまかなうので精一杯という事情を浮き彫りにしているとし、特別な技術を必要とせず、リスクの点を除けば男女の差がないという点からも「相乗り」が庶民の「付け加え的な」アルバイトとなっている、と指摘した。

しかしながら、この「相乗り」は違法行為であり、逮捕される。1999年8月30日には25の「相乗り」グループがシティー・ホールの前で、友人の「相乗り」労働者の釈放を求めて運動を行った。

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