最低賃金労働者数が5年間で5割増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

1999年8月23日に雇用省が発表した調査結果によると、SMIC(最低賃金)労働者の割合が1994年から1998年までの5年間で、8.2%から12.4%へと50%も増加している。この推移は1990年代初頭には比較的落ち着いていたが、1995年7月と1997年7月のSMIC引き上げ幅が大きかったために、動きが不規則に変動した。1994年7月1日から1995年7月1日までの間に、「スミカール」(SMIC 労働者)の割合は8.2%から11.2%へ上昇したが、1995年の引き上げが徐々に他の労働者へも影響を与え、1996年には10.7%へ低下した。1997年に再び「政治加算」が行われると、スミカールの割合は14.1%へ急上昇したが、1998年7月1日には12.4%へ低下している。この時点で、スミカールの数は240万人をいくらか上回っていた。現在、スミカールは月に169時間働いて6881フラン(1フラン=17.17円)(1049ユーロ、1ユーロ=112.60円)の税引き前賃金(手取りで5440フラン)を手にしている。

スミカールの割合と企業規模との間には重要な関係がある。従業員10人未満の事業所だと、スミカールの割合が平均の2倍になる(1998年の場合、全事業所平均の12.4%に対して26%、1994年には8.2%に対して16.5%)。調査報告書はその理由を、「従業員10人未満の中小企業は、国が補助する雇用契約で最も多くの若年者を雇用し、転職率が最も高く、団体協約の適用率が最も低いからだ」と指摘している。団体交渉が普及している大企業では、SMIC 上昇分の大部分が他の労働者にも反映され、改定の翌年にはスミカールの割合が減少している。

男女別に見ると、スミカールは女性の方に多い。1998年には男性の9.1%に対し、女性は17.2%がスミカールだった。だが、男女間の格差は年々狭まる傾向にある。すなわち、1990年代初頭には、スミカールの割合が女性は男性の3倍に達していたが、1994年には2.6倍、1998年には1.9倍となっている。この推移は「責任あるポストもしくは高い資格が必要なポストへ登用される女性が増えている」ことを窺わせる。また、ブルーカラー労働者の場合、スミカールの割合は男性の11.8%に対して女性は29%を記録している。

年齢別に見ると、26歳未満の労働者は1998年7月1日時点で3人に1人(34.9%)がSMICで働いていたが、スミカール全体に占めるこのカテゴリーの割合も減少している。すなわち、1987年には43%に達していたが、1994年には35%、そして現在は31%を下回っている。その理由について、調査報告書では「若年者の在学期間が延びていること」と、「26歳を過ぎても賃金がSMIC近辺にとどまる労働者が増えていること」を挙げている。

業種別では、多くの場合女性労働力に依存した伝統的低賃金部門にスミカールが集中している。1998年7月1日に、ホテル・レストラン業では45.4%(1994年には33%)の労働者がSMIC引き上げの対象となった。このほか、個人向けサービス(1998年31%、1994年は22%)、被服・皮革業(31%、24%)、小売業(21%、17%)、食品加工業(20%、11%)、繊維業(19%、9%)などで多くのスミカールが働いている。

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