失業減少に勢い

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

1999年7月は失業者数の減少が加速し、労働人口の11.2%となった。これは1993年初頭以降に観察された最も低い水準となる。6月11日から職探し免除制度が高齢失業者手当を受給している55~57.5歳の求職者に適用拡大されたことも1つの大きな原因で、これによってカテゴリー1(期間の定めのないフルタイムの職を探している求職者)および6(月間78時間を超える職業活動に従事しているが、期間の定めのないフルタイムの職を探している求職者)の求職者数が1万4000人減少した。

実際のところ、失業率の低下は50歳以上の男女(対前月比だと横這いでそれぞれ8.9%、10.2%;対前年同月比だとそれぞれ+0.1ポイント、+0.2ポイント)を除き、すべての年齢カテゴリーで実現されている。25歳未満の若年者の失業率は22%を下回り、21.7%(前年同月は22.5%)となった。ただし、この低下はもっぱら女性のおかげである。すなわち、若年女性の失業率が前年同月の26.1%から24.2%へ低下したのに対し、若年男性は1年間で0.1ポイント悪化させ、19.8%となっている。一方、25~49歳の年齢カテゴリーでは、これほど顕著な傾向は見られず、1年間で0.6ポイントの低下にとどまっている(10.2%)。

1999年の1月から7月までの間に、カテゴリー1(公式失業指標)の求職者数は14万6800人、カテゴリー1+6(以前の公式失業指標)は12万3800人、ILOの定義による失業者数は8万8000人減少している。

これらのデータは1998年との比較で求職者数の減少が加速していることを示している。実際のところ、雇用紹介所(ANPE)に登録した求職者数も年間で15万1000人、月平均でおよそ1万2600人も減少してきた。しかも、1999年の1~7月を見ると、月平均の減少数は2万1000人近くに達している。

カテゴリー1+6にに計算される求職者数は1998年に10万5000人減少した。月平均で見ると8800人ほどになる。このカテゴリーの数字も1999年に入ってから勢いを増し、月平均1万7700人の割合で減少してきた。

ただし、ILOの定義に基づく失業者だけは減少が緩慢である。すなわち、1998年中は月間1万3200人の割合で減少していたが、1999年にはいると月平均の減少数が1万2600人へと減速した。この減速化は、公式失業指標に盛り込まれているカテゴリー以外の別のカテゴリーに分類される労働者の ANPE 登録者が急増したことによる。すなわち、カテゴリー2(期間の定めのないパートタイムの職を探している求職者)は年間で16.6%増加しているほか、カテゴリー3(期間の定めのあるパートタイムの職を探している求職者は、42.1%、カテゴリー7(直ちには仕事に就けないが、期間の定めのないパートタイムの職を探している求職者)は28.9%、カテゴリー8(直ちには仕事に就けないが、期間の定めのある、一時的、もしくは季節的な職を探している求職者)は71.8%も増加している。

このような状況の悪化は不安定雇用と失業の間を行き来する労働者の一層の不安定化を証明するものであり、失業減少の加速という現象もそのまま鵜呑みにはできない。

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