年金基金を外国株に投資

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

社会保障制度(SSS)は、国内株の年金基金への組み入れを促進することに加えて、海外株式市場に投資することによりポートフォリオを拡張・強化することを熱望している。

アレラノSSS議長兼理事長は、退職給付基金(年金基金)は、規則により総積立基金1700億ペソ(1ペソ=2.63円)の7%を上場された海外の企業に投資することを許可されているが、これは、SSSに国内株を購入するよう指定された510億ペソに加え、115億ペソ(約3億ドル)の外国の資本に対する投資資金を与えていると述べた。「制度は、まだ海外に投資していない、その理由は、当該国の為替レートが安定したことを確認したかったからである。今後、危機から基金を守りながら、海外の好機を利用する投資を始めたい」と語った。SSSは、長い間海外への投資を望んできたが、公務員保険制度(GSIS)による海外への投資が非難を浴びせられたため自粛していた。

アレラノ理事長は最近アセアン社会保障協会の会長に選出され、アセアン経済担当大臣会議の議長のパルド貿易大臣と、アセアン域内の株式投資の促進について議論してきていた。アレラノ理事長は、これは、SSSが国内市場への投資を減少させることを意味しているのではなく、海外の情況が明るいためであることを強調し、SSSは、退職給付基金の投資リスクの影響を緩和させるために単にポートフォリオを多様化したいだけと述べ、「国内・国外の資金運用者に、国内外の投資に対する助言を求める予定であり、今後多くの資金運用者との関係をもっと正式なものにしたい」、「恐らく1年以内に投資を始める」と語り、SSSは大きな回復から最高の収益をもたらすと予想されるシンガポールを中心としたアジアの株式市場に最初に投資するよう注視していると述べた。

この背景には、SSSが公正を選択する慎重さの欠如、監視と均衡なシステムの後退、最近の取引において一部のビジネスグループや仲買業者を有利に取り計らうための基金の不正運用という問題を抱え、株式市場への参入が非難を浴びていたことがある。政府もSSSに、株式投資を綿密に調査し、合併と買収に積極的な役割を果たすのを慎み、GSLSと共同で投資会社を創設することにより株式市場の投資を抑制するよう指導してきていた。

しかしながら、SSSのこの発表の後の1999年8月6日、エスピリッツ財務長官は、「規約では、SSSが海外に投資することが許可されているが、政府が、もっと多くの海外からの投資をもたらすよう努力しているこの時期に運用方針を変更すべきでない。SSSは、海外より国内に投資すべきだと語った。

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