サンパウロ州、格差広げる
労働省とブラジル地理統計資料院のデータを分析して、サンパウロ州立大学の労働問題専門家マルシオ・ポシュマン教授は、経済活動人口に対する公式雇用の割合を、ブラジルの平均は30%、サンパウロ州は41%と計算した。全国の公式雇用は1989年から1998年にかけて28.6%減少したが、サンパウロ州は20.1%減少となった。公式雇用は給与水準が高く、ここでもサンパウロ州は全国平均給与に年々格差を付けていく。1989年に州は全国平均より13%高い給与となっていたものが1998年は25%へ拡大した。サンパウロ首都圏だけなら1989年に全国平均より26%高だったものが、1998年には42%高となっており、工業の地方分散も地方の給与水準の向上にはまだ効果を見せていない。ポシュマン教授は、全国経済活動の中心地であるサンパウロ州は、工業の地方分散や大都市の社会問題悪化などで次第に集中力を失っているが、高給取りに関する限り地方との格差を拡大しているとしている。労働集約産業は地方分散を図っているが、高度の専門的訓練を要求される先端部門の企業が集中しており、これら自体は小人数を雇用するだけであるが、下請けをより多く契約し、その下請けも高度技術を要する労働力を雇用しており、1989年と1998年の給与を指数で比較すると、国内の平均をいずれも100とした場合、サンパウロ州は113.2だったものを125.5へ、サンパウロ首都圏は136.2を142.8へ広げた。
所得が向上して、給与にゆとりが生じた場合に教育、文化やレジャー部門の活動は活発化するもので、この面からも、サンパウロ州は全国をリードしており、教育、衛生、治安など社会サービスの従事人口は1989年には全雇用の24%だったものを、1998年は26%に増加し、個人サービスとなる衛生、美容、レジャー、飲食などの従事割合は、31%から39%に増加したと報告している。
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