高失業率でも雇用市場は好転

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

1999年上半期のブラジル地理統計資料院(IBGE)の公式失業率は7.82%、6月は7.84%となり、5月の7.7%からまた上昇した。ただ前年同月の7.9%より少し低い。上半期の指数はIBGEが1983年にこの失業調査を開始して以来の最高となった。調査担当者によると、この失業率上昇は、雇用増加が引き起こしたという奇異な結果を招いた。労働力の新規採用が開始されたために、これまで職を探すことを諦めていた失業者が、改めて求職に出てきたことで、失業率が増加した。IBGEの調査では、調査した週に職探しの行動を取っていない者を失業者として計算しないために、長期失業者でも行動を起こさない限り、失業率には現われない。6月の求職人口が4.3%増加した結果、経済活動人口(就労人口と求職人口の合計)は1.2%増加し、これで非経済活動人口は1.3%減少し、就労人口は1%増加した。このため、調査担当者は、失業率は高くても実際は好転していると評価した。しかし公式市場の就労は増えず、アングラ経済の就労は非常に高い。ただ下半期は経済に予期しない変動が起こらない限り、金利の低下と経済回復によって雇用市場は好転すると予想している。1999年は1月に政府の財政危機から為替を大幅に切り下げ、外資流失を回避しようと、中央銀行の年間基本金利を49%以上に引き上げ、7月末に21.5%まで下げたが、消費者金融や個人融資の金利は、年率80%以上となっており、生産から消費まで経済活動の回復を阻止している。また経済回復に不可欠とされている政府の財政調整が、政治的圧力のために実施できるかどうか疑問が強まった結果、金融界では先物取り引き市場が、先行き金利上昇、為替切り下げ加速を予想しており、下半期にもまだ不安材料がある。

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