援助国支援による職業訓練拡充

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)の職業訓練総局のグエン・ダン・タイン副部長によると、援助国や非政府組織がベトナムの教育者と協力して職業訓練の機会を拡大しつ_ツある。現在、1億2000万米ドルをかけた職業訓練事業がアジア開発銀行などの援助を受けて進行中で、1999年から2004年にかけて全国15カ所の主要職業訓練校の機能強化が目指されている。この事業資金の約50%が1999年8月に配分され、教育施設の補修・改善を行っている。さらに、この事業には職業訓練指導者の技能を高めるため、指導者対象の標準化された教育計画が含まれている。

この他、ドイツからの援助によりビン市中央部の職業訓練校の機能強化が図られている。韓国は1000米ドルを援助して、いくつかのハイテク職業訓練校を新設する。日本はハノイ市とホーチミン市にそれぞれ1カ所のハイテク技能センター設立援助を計画中、スイスは5カ所の短期職業訓練センターを新設する予定である。

政府職員によれば、職業訓練部門で構造変化が起こりつつあり、民間あるいは営利ベースの職業訓練センターが以前よりも重要な役割を果たしている。グエン・テイ・ハン労働・傷病兵・社会問題相によれば、国営職業訓練センターは国内の年間職業訓練目標の15%から20%の訓練を担う予定で、残りは民間あるいは職場内の訓練機関に委ねられる。職業訓練に関する最近の全国規模の会議においても、国営職業訓練センターが技能養成に果たす決定的役割が損なわれていると指摘された。国営センターでの小規模な訓練事業や陳腐化した訓練施設では、特に工業化、近代化が進む生産現場からの要請に応えられなくなっており、非国営職業訓練機関や雇用創出機関がこれらの需要を肩代わりすることが多くなっている。MoLISAの職業訓練総局によれば、ベトナムには地方政府によって運営されている86の職業訓練センターあるいは雇用創出センターがある他、495の短期職業訓練センターを大学や企業が運営し、約200の民間職業訓練センターが存在する。これらの非国営センターでは毎年約50万人が職業訓練を受けている。その多くは短期職業訓練のみを提供しているが、技術者や熟練労働者を労働市場に供給する役割を担っている。民間職業センターは1992年から1993年にホーチミン市で260を数えたが、その後過当競争と資本不足などで淘汰された。政府は現在、民間職業訓練センターを支援するため所得税優遇措置などをとり、新規参入を奨励している。

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