政府職員賃金・雇用制度改革

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

共産党中央委員会総会が1999年8月16日に閉幕、行政制度・雇用制度の包括的な見直しを含む決議文が発表された。その骨子は、(1)政府職員の最低賃金を2001年までに14万4000ドン(100ドン=0.8円)から21万ドンに増加(約5割増)、(2)完全週休二日制の導入、(3)中央・地方政府で約15%の人員削減などである。

政府職員の給料については、低給のために職員が汚職をしたり副収入に依存していると指摘されてきた。ただし賃上げが直ちに綱紀粛正や能力向上に役立つわけではないので、2001年から2005年までに実施する賃金制度改革のあり方を2001年まで検討することにした。また、合理的な賃金制度は経済発展・能力向上のための投資であるとされ、常に社会経済的発展に見合った政府職員の昇給が必要であるという認識が示された。これに関連して、インフレによる給料目減りを避けるため、政府職員給与のインフレ分の賃金補正が2000年前半から実施され、2001年前半に完了することになった。最近7年間の最低賃金上昇率は約2割だったが、その間の物価上昇率は約5割であったため、約5割の最低賃金の増加もこの間のインフレ補正に見合った額である。

完全週休二日制(いわゆる週40時間労働)は1999年10月1日から全ての国家行政機関で実施され、能率向上や交通費の削減などが期待されている。職員は週休二日制となるが行政機関は週休二日とならず、従来通りの日程で公共サービスを提供する。完全週休二日制については、民間企業では各企業の自主性に任せるが、国営企業については遅くとも2000年初めには導入する。しかし、労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)は完全週休二日制を国営企業および民間企業で働く労働者にも同様に適用する意向を示しており、労働法(特に68条および72条)の改訂を提案する準備にはいった。

政府組織の簡素化の目的は、肥大化した組織や重複した政府機能の見直しにある。省庁統合については具体的な合意に達しなかった。約15%の人員削減は、必ずしも自動的な15%の職員解雇を意味するわけではないと共産党中央委員会は説明しており、仕事量に応じた人員削減を各省庁等で行う予定である。

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