USエアウェイズ社で顧客サービス係が組合組織化に成功

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

USエアウェイズ社

USエアウェイズ社で客席予約などを行う顧客サービス係が1999年8月20日、3回目の代表選挙において圧倒的多数で全米通信労組(CWA)加入を支持、CWAが1万600人の顧客サービス係を代表して直ちに USエアウェイズ社と労使交渉に入ることになった。これは、大手航空会社で各労働組合が多数の労働者を組織化した運動の最新の成果である。同社では、同社の前身である US・エア社が多額の損失を出していた1992年に顧客サービス係の給与が凍結され、各種給付の削減が行われた。その1992年以来、組合組織化努力が続けられ、連邦労働法が組織化活動中の労働条件の変更を禁じていることから、長い間、賃金凍結と給付削減の影響が続いていた。ただし違法ではあるが、1999年6月に同社は一方的に賃金と給付を引き上げたが、これに対し、賃金や給付の改善をいつまでも先送りできないとしてCWAは敢えて抗議しなかった。

デルタ航空

デルタ航空従業員は、同社が反組合感情の強い南部アトランタに本社を置いていることもあり、大手航空会社の中で最も組織化が遅れている。しかし全米パイロット労組(ALPA;Air Line Pilots Association)に組織化された同社パイロットが初めて、駐機場労働者、機械工、発券係員、客室乗務員らの組織化活動支援に乗りだし、組織化に弾みをつけている。同社では1990年代半ばに前の経営陣が人員削減を進めた。この結果、多くの従業員は雇用保障が失われたと考えている。ALPAによれば、ALPAが同社全体での従業員組織化支援を行うことによりパイロットとデルタ経営陣との対立を深める可能性があるものの、パイロットと他の職種の従業員とは先任権など多くの点で利害が共通するため、社内の各職種で組織化を進めれば、最終的にパイロットの利益につながるという思惑がある。同社パイロットは経営陣に対して挑戦的になっており、1999年9月にデルタ航空との労使交渉で大幅な賃上げを求める予定である。

一方、運輸労働者労組(TWU)は、デルタ航空の駐機場労働者1万人の労働者組織化投票実施を目指して、この秋にも全国調停委員会に申請をする予定である。デルタ航空の駐機場労働者の組織化活動は1998年秋にも行われたが、TWUが十分な署名数を集めることができず、失敗に終わっている。TWUは並行して同社の9000人の機械工、2万人の客室乗務員、約1万5000人の発券係員を組織化しようとしているが、これらはまだ初期の活動段階にある。デルタ航空首脳は常々、組合組織化に抵抗すると表明していることから、同社で各労働組合の組織化活動が成功するか否か予断を許さない。

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