銀行労働組合が賃金協定で政府の仲裁を求める

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

1千万人以上の銀行労働者を代表する銀行労組連合フォーラム(UFBU)は、1999年5月31日、銀行経営者を代表するインド銀行協会(IBA)との相互協定の実行に関し政府による仲裁を求めた。

1999年3月の長期化した銀行ストは、3月12日、IBAがUFBUに対し、1997年11月1日まで遡り、12.25%の賃上げ協定を実行することにより中止された。

しかし、この12.25%の賃上げに従業員積立基金(EPF)及び年金基金の費用増加が含まれるかどうか、に労使間の見解の相違が生じた。

なお、銀行の従業員は、基本給の10%をEPFまたは年金基金に納付し、銀行側もほぼ同額を納付している。銀行の52%はEPFを選択し、48%は年金基金を選択している。

銀行経営側を代表する IBAは、1999年6月8日に、UFBUと同意した1999年3月12日の賃上げの覚書には、EPFの増額負担の他、賃金改定により生じる退職金、年金費用の増加も含まれると述べた。

IBAは、銀行が定期的に年金基金へ賃金の10%を拠出している上、年金を選択したが賃金から年金基金に積み立てをしていない行員分を毎年賃金の16.5%の支払いをしていることも付け加えた。

労働組合側は、IBAが1999年3月12日の12.25%の賃上げの協定を実行しないなら、全国的な無期限ストも辞さないとしていた。UFBU の他、セングプタ全インド銀行従業員連合AIBOC)書記長は、この問題について討議するため財務長官と会見を求めた。AIBOC によれば、基本給の10%をEPFまたは年金基金に拠出しているが、年金基金を選んだ48%の従業員が損害を被ることになる。

労働組合は、最近の数年間に銀行は、総額960億ルピーの年金基金を簡単に創設できるはずだったがそうしなかったと指摘し、すべての退職した銀行員は、雇用されている銀行従業員が拠出している年金を受け取っていることになる。また組合は、もしIBAがその年金基金を創設していれば、実質賃金の上昇は6~6.5%になり、公共部門の銀行は、70億ルピー節約できたとしている。

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