インフレ率と短期債権の利率が低下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

国家統計局はインフレ率が1999年5月の6.7%から6月には5.8%に下がったと1999年7月5日発表した。これは、1月の年率11.5%と比較すると大幅な下落である。

インフレの沈静化は、銀行が保有する短期債券の利回りがここ10年間で最も低いことと連動している。

この背景としては、指標の52%を占める食料品価格の安定があり、また飲料、タバコ等の価格も対1998年6月比で3.5%上昇したのみであったことが上げられる。但し、住宅、燃料、サービス業務の価格は上昇している。「今後3カ月以上は、インフレ率は下がり続ける」とラバロフィリピン銀行協会エコノミストは語った。また、オリオンスクワイヤーキャピタル株式会社のリボロ主席研究員は、「予想以上に良好、株式市場に好影響を与える」と述べている。

一方、財務省当局は、銀行の貸付金利の参考として使用される標準的3カ月短期債券の利率は、前週の8.75%から8.474%に下がったと発表した。これも年初の13.5%と比較すると大幅な下落である。

「1990年代で最低の水準である」とベルトラン副財務長官は述べ、短期債券利率の急激な低下は、インフレの抑制と財政の安定化政策による市場の信頼を改善したことによりもたらされたと説明した。

また、前出のリボロ主席研究員の利率はまだ下がる余地があり、3カ月の短期債券利率は、財務省の予測の7.5%が目標になると述べた。

6カ月から1年の短期債券利率も、それぞれ前週の8.934%、9.510%から、8.657%、9.155%に同様に低下している。

しかしながら、ING バーリング証券クユケング主席アナリストは、「通貨当局は、利率の下落はペソの更なる不安定要因を引き起こすことにもっと注意すべきで、利率格差が小さいときペソを維持するための動機が弱く、ペソは投機の危険性により大きく曝される」と述べた。

一方、メダラ経済企画庁長官は、「通常150億ドル以上に達している我国の外貨準備高の最近の水準は、ペソを投機から十分保護できる。我国の銀行は、企業の需要を満たす十分なドルを保有しているし、利率はまだ下がる余地がある。3カ月の短期債券利率は財務省の予測7.5%が目標になるだろう、衝撃があるとしても小さなものだろう。ペソは1ドル40ペソの水準を突破しない」と述べている。

政府の経済担当局は年末のインフレ率が8~9%という目標は、1~6月が8.4%なので到達可能だとしている。

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