海外出稼ぎ労働者の悲惨な状況

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

リビアのトリポリの北東部ベンガジにあるオルフェッチ児童病院の43人の看護婦が、エイズを広めた外国人医療労働者ではないかとリビア当局によって嫌疑をかけられ、出国を停止させられていると1999年7月8日トリポリのフィリピン大使館が発表した。フィリピン人看護婦の出国書類の手続きは審査中であり、看護婦の1人はエイズ感染者ではないかと疑われているが、その女性はエイズウイルスに感染したことはないと誓っていると説明した。

この問題についての政府の調査は、1998年より始められており、病院の132人のフィリピン人看護婦の大部分は当局によって尋問され、その内の2人は、1998年12月、2日間拘留させられた。

リビアのジャハミリア通信社によると、1999年2月に起きた児童病院での事件をきっかけに政府が「様々な国籍をもつ医師と看護婦」を調査したとしている。

大使館が政府に行った先月の報告では、リビア当局は、エイズ汚染は外国人が故意にリビアに被害を加えようとしたものかどうか究明する必要があるとし、ブルガリア、ポーランド、ルーマニアからの看護婦も調査され、4人のポーランド人とブルガリア人の看護婦もエイズ汚染との関係で検査され拘留させられたとしている。

これらの尋問や調査方法は、フィリピン看護婦の間に恐怖をもたらし、辞職したり、雇用契約の更新を拒否するよう彼女らを駆り立てた。しかし、 潟rア政府は、調査終了まで出国ビザの発行を延期していた。

この事件後、フィリピンの医療労働者の中には、6カ月間仕事が無いものもいるため、大使館は本国政府に困窮している看護婦に1人当り50ドルの「1回だけの食糧援助」をするよう要請した。

リビア病院でエイズウイルスを広めた罪に問われていた43人のフィリピン人看護婦が本国へ送還されると大統領報道官は1999年7月13日発表した。ムアラム大使は、看護婦に対して申し立てられた正式な告訴はなかったとリビア政府に通知し、リビア政府が43人のフィリピン人の送還に対して全面的な援助と協力をすることを保証したと強調した。「進行中の調査と看護婦の身辺整理を終えた上で、出国ビザが即座に発行される」と報道官は付け加えた。

シンガポールではフィリピン人家政婦に暴力を振るった女性が、拘置は免れたが887US ドルの罰金を科された。

家政婦虐待は明らかな罪であり、最高刑は6カ月間の拘留か、1500US ドルの罰金である。

尚、シンガポールでは、アジアの発展途上国からきた約10万人の外国人家政婦が、1カ月135US ドルから188US ドルで働いており、家政婦の最低賃金制度はない。

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