使用者団体が労働法典改正を要求

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

フィリピン経営者連盟(ECOP)は、労働法典改正要求の中で、全国労使関係委員会(NLRC)の権限縮小、最低賃金設定プロセスの合理化、労働者の雇用や解雇をより柔軟に行うことを要求している。

この要望の背景には、ECOP の NLRC の管轄権を見直し、完全な三者構成機関とするために NLRC 委員を交替させるべきだとの考え方がある。

ECOP は、NLRC 委員の任期は限定されるべきであり、委員のリコール制が導入させるべきであり、さらに、労働仲裁委員の就任には三種構成委員会の承認を必要とすべきであると主張している。

ECOP によると、労働雇用省や大統領府との調整不足により、NLRC は半独立組織化し、その裁定は多様な社会と経済の現実を考慮していないという。これを根拠に ECOP は、労働雇用相が NLRC の委員長を兼任し、NLRC の裁定はすべて最高裁の検閲を得るべきであると提案している。

最低賃金決定プロセスの合理化と雇用の多様化については、具体的には、生産性を考慮した上で最低賃 烽フ基準を設定し、柔軟な賃金制度を促進することを提案し、また、労働者の解雇に際し、季節労働者、有期雇用契約労働者、臨時雇用の労働者を常用雇用定義から除外することを望んでいる。

これらは、経営縮小計画を実行する上で、経営者に有利な手段を提供するのに加えて経営者側のニーズに適った臨時の労働者を雇用するのに適応していると ECOP は指摘している。

また、労働法典を見直す目的は、経済のグローバリゼーションに適応し、労使に平等な保護を提供し、労使の責任共有を促進することにあり、労働法典改正は、投資促進にもつながる、とECOPは主張している。

この他、ECOP によって主張された改正点は、不当労働行為の排除とエイズのような致命的な病気を解雇の理由とすることである。

今回の ECOP の主張の背景には、多数のフィリピン企業、外資系企業の閉鎖・撤退に労働関係の問題が関係していると、非難されていることがある。

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