農村部で児童労働急増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

日刊紙ハノイ・モイは、農村部で児童労働問題が悪化しているため、農村部の子供に対して、政府がより効率的な医療・教育政策を提供するよう求めている。農村部の子供は5歳あるいは6歳で労働力となり、清掃、洗濯、子守りなどの単純な家事をする。最近では農村部で手工業が発達し、家計が独立した経済単位になったり、自営業を営むことが多くなっており、児童労働者の増加に拍車をかけている。農村部では多くの14歳から15歳の少女が学校をやめて市場で物を売り始める。一方、少年たちは他の手仕事に従事したり、都会へ出て職探しを始める。最近の調査によれば11歳から12歳の少女は1日3時間から5時間働き、同年齢の少年は1日2時間から4時間働く。さらに15歳から16歳の年齢層では、男女とも1日6時間から7時間働く。このため農村部の子供は学校に行く機会が失われている。教育訓練省の推計によれば、小学校から中学校への進級(5年生から6年生)の際に農村部の生徒の約10%が落ちこぼれ、60から65%が中学校から高校への進級(9年生から10年生)に失敗する。

農村と都市とでは子供の生活にも大きな違いがある。農村部では子供が働いて家計を助けようとしているのに対し、都市部の子供は質の高い学校に入って楽器を演奏したりコンピュータを操作する機会がある。ハノイ市には路上生活をする少年が数多く集まっているが、その大部分が農村部から出てきている。都市部のメイドの大部分は農村部の少女で、最低限の稼ぎしかできない。都市部で賃金労働者として働いている子供も低賃金で働いている。それでも農村部で子供のいる家計にとっては比較的多額の所得となるため、僅かな金額であっても子供は働こうとする。これが農村部の子供を雇う主要な理由となっている。

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