失業者数、19年ぶりの低水準

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

全国統計局が発表した5月の失業統計によれば、失業者数が19年ぶりの低水準を記録した。失業中で手当を受給している者は128.5万人となり、1980年6月以来最低水準に達した。失業率の方は、前月と変わらず4.5%のままであるが、1980年の6.1%に比べると良好な水準である。ただ、失業者が減少しているのは、1970年代、1980年代よりも労働力人口の定義が厳格になったことによる可能性も否めない。

経済成長率は下降気味とはいえ、景気循環の谷でも新たな雇用が創出されたため、失業者総数は低下しつづけた。製造業はいまも海外市場やポンド高に影ソを受けやすい状態にあるが、サービス部門の成長は堅調だ。しかも雇用が増大しても生産性の上昇を脅かしていない。生産性(雇用労働者当りの産出量)は、雇用が増大し、産出量の増大が緩慢になったにもかかわらず、経済循環の全局面にわたり全部門で上昇を続けた。

一方、賃金の年間上昇率は名目で4.6%にとどまっている。しかも、失業者数の減少にもかかわらず賃金上昇圧力は一般に弱まっており、シティのあるエコノミストは「驚異的」と形容している。

年間の物価上昇率は1.3%で推移しているから、実質賃金上昇率は3.3%に達していることになる。これは英国の戦後の水準と比較しても、また国際的にも、極めて高い数値である。実質賃金上昇率の改善は、労使紛争件数が1998年に史上最少にとどまった要因の1つともなっている。

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