雇用関係新法、一部施行される

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

雇用関係新法のうち不公正解雇に関わる規則が6月1日に施行された。推定290万人の労働者の雇用がより安定するものと期待されている。

新たに施行された規則は、労働者が不公正解雇で雇用審判所に不服を申し立てる権利を得るための勤続年数要件で、これまでの2年から1年に緩和された。また、不公正解雇に対する補償額の上限がこれまでの1万2000ポンドから5万ポンドへ引き上げられた。

英国産業連盟(CB)は、使用者が従業員の適性を判断するのに1年で十分であるとしている。労働組合会議(TUC)は改正を歓迎する一方で、使用者が法的義務を回避するために短期契約を結んで勤務年数要件を悪用する可能性が残されていると懸念を表明している。

もっとも雇用法の専門家によるとA法的観点から見て、正社員と有期契約社員(fixed-termstaff)の間に大きな差はない。例えば、3カ月契約を連続4回結んだ従業員の場合、12カ月間勤務した正社員とまったく同じ法的立場に置かれる。

雇用専門の弁護士らは、勤務年数要件が緩和されたことにより、雇用審判所への不服申立がかなり増加するものと見ている。政府の試算では、不公正解雇に係る審問は年間で1万件~1万4000件増加し、計4万件前後に達する。

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