オブリ雇用相が第2週35時間制法案を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

オブリ雇用相は第2週35時間制法案を8月3日の閣議に提出するために、最終的な修正作業を完了した。雇用相は6月24日に草案を発表した後、この17条から成る法文を出発点に再び労使との協議を重ね、内容を手直ししてきた。全17条のうち、多くが書き直されたが、発表済みの規定を覆すようなものではない。しかし、3条が訂正され、1条で明確化が図られた。7月9日にコンセイユ・デタ(国務院)へ送られる法案の主な内容は次の通りである。

時間外労働

週35時間から39時間までの間の時間外労働については、従業員21人以上の企業の場合、割増率が2000年には10%、2001年には25%となる。企業が労働時間短縮協約を締結した場合これらの割増は、時間(代償休日)もしくは金銭の形で、すべてが労働者に与えられる。

企業が39時間にとどまる場合これらの割増率は同じだが、10%が税金となり雇用基金へ払い込まれる。この税は暫定的なもので、企業が協約を結ぶと同時に消滅する。年間割当枠(これを超えた場合、すべての時間外労働に等価の補償の権利が生じる)はこれまでと変わらず130時間だが、2000年には37時間を超えた場合、2001年には36時間を超えた場合となる。

管理職

管理職は3つのカテゴリーに分類される。すなわち、時短の対象とならない最高幹部、一般労働者と同じ時短の恩恵を受ける作業班参加のヌ理職、そして日数の割引が行われる営業もしくはその他の職務の管理職である。この最後のカテゴリーの場合、最初の草案では、年間222労働日の最高限度もしくは5日間の追加的休日を見込んでいたが、この規定に対しては激しい批判が浴びせられた。雇用省は、「我々は十分に理解されていなかった」と述べるとともに、「このカテゴリーの場合、もはや時間の限度は存在しないので、再導入する必要がある何らかの上限期間が問題だった。いずれにせよ、これが我々にとって望ましい期間であったわけではなかった。企業の労使当事者がこの限度から出発してこれよりも低い日数を取り決めることに何ら問題はない」との見解を示した。この上限がいまでは217日になり、休暇日数の基準は廃止された。しかし、祭日全体の恩恵を受ける管理職の場合、年間10日の追加的休日を意味することになる。雇用省は「この他に交渉で獲得したものが加わる」と主張している。

時間貯蓄勘定へ繰り入れることができる日数も最大で30日から22日へと削減された。これはその日数が追加的休日を越えるところまで行って、一時的に対象者の労働日数を増やすことがないようにするための措置である。

協約の調印

「多数決論理」の原則が維持される。国の補助を受けるためには、企業協約は過半数を代表する1つもしくは複数の組合の署名を受けるか、あるいは、それがない場合には、選挙で従業員の承認を得なければならないはずだった。しかし、この仕組みは見直され、部門協約が拡張された場合には、もはやこの規定が適用されず、この措置は従業員50人未満の中小企業の手続きを簡素化することが目的となる。また、選挙はもはや使用者が要求できず、要求できるのは調印組合だけとなる。たとえば、過半数を代表していない1つもしくは複数の団体が協約に調印したが、過半数を代表する組合が反対した場合、従業員投票などを要求するイニシアチブを握るのは前者となる。補助の支払いをこれらの調印ルールへ条件づけることは批判を受ける可能性があると考える者もいたが、雇用省から照会を受けた法律学者たちは問題ないとの判断を下している。

パートタイム労働

自発的なパートタイムを促進し、対象労働者が休暇期間の「穴埋め」的な役割を果たすことがないように、パートタイムの申請を行う者はその家族的必要性に応じて、「少なくとも1週間」から成る1つもしくは複数の期間という形で、時短の恩恵を受けることができる。労働期間の間、パートタイマーは他の労働者と同様、「集団的労働時間に従って従事する」ことになる。

最低賃金(SMIC)

週35時間に移行した労働者がSMIC相当額の賃金を受け取っている場合、その額を引き下げることはできない。この所得維持保障は「賃金の差額補完」という形をとることもできる。SMIC月額は、「物価の上昇およびブルーカラー労働者の月額賃金の購買力上昇分の2分の1」に基づいて見直される。これは現行SMICとほとんど変わらないルールである。新規採用者やパートタイム労働者についてもSMICの引き下げは禁止される。

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