Unite、南部ノースキャロライナ州で組合設立成功

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

国内最大の繊維業労組である全米縫製・繊維労働組合(Unite)がノースキャロライナ州カナポリスにあるフィールドクレスト・キャノンの6つの工場で5000人以上の労働者の組織化に成功したと主張している。労働者は2270対2102で組合結成に賛成した。この際、Uniteと全国労働関係局(NLRB)がこの他に数えられていない285票があると主張したため、NLRBが即座に組織化成功を宣言するわけにはいかなかった。しかし組合職員は組合の勝利は確実だと述べている。

Uniteの書記長兼財務部長を務めるブルース・レイナー氏によれば、今回の勝利は南部繊維工場における労組の最大の勝利の1つである。そればかりか、南部工業地帯に組織化の足場を築きたいという願いが果たされたことから、労働組合運動全般にとって祝福すべき勝利と言える。ノースキャロライナ州は16万7000人という全米最多の繊維業労働者を持つが、全米で最も組合組織化が遅れた州の1つである。フィールドクレスト・キャノン社における組織化は過去4半世紀に5度試みられたが、全て失敗に終わった。過去5度の試みにおいては、使用者が組合支持派労働者にいやがらせや解雇を行ったためNLRBが介入せざるを得なかった。しかし1997年にダラスに本社を置くピローテックス社がフィールドクレスト・キャノン社を買収し、必ずしも組合を好まないピローテックス社のチャールズ・M・ハンセン最高経営責任者(CEO)が、同社管理職に労働法違反をしないように命じたため、労働者が自由に組合に投票することができた。

Uniteの成功例は、伝統的に反組合感情の強い南部でも経営者が労働法を遵守すれば、組合設立の可能性が高まることを示している。その意味で、南部のアラバマ州ヴァンスにある従業員1300人のメルセデス製造の工場で、全米自動車労組(UAW)が続けている組合設立の試みにダイムラー・クライスラー社が中立を保つと約束したことは意義深い。同社の中立性は、1980年代以来、経営陣が多くの自動車工場で組合設立をあらゆる方法で思いとどまらせようとする流れと一線を画す。労働法によれば会社が組合について否定的な内容の印刷物を自由に配布することができる。さらに1980年代から1990年代には管理職に対し、合法的な組合組織化潰しを指導する多くのコンサルタントが現れた。

同工場で労働者の過半数の支持を得ることは難しいため組合設立は困難と見られているが、UAWが南部での組合設立に力を入れ始めたこと、そして本田自動車、ダイムラー・クライスラー社、BMW社などが最近南部で工場の増設計画を発表し、同地域に外資系自動車製造業が集まる傾向があるため、注目される動きである。なお、ノースキャロライナ州とアラバマ州は南部約20州同様、労働権法(right-to-worklaw)を州法に持ち、たとえ組合が労働者を代表する権利を得たとしても、労働者に組合加入と全ての組合費の負担を義務づけることができない。そのため南部では労働者が労働組合支持を表明することに勇気がいるとNLRBの元委員は語っている。

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