週35時間制に関する第2の法律を前に活発な論議

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

今年中に成立させなければならない週35時間制に関する第2の法律を準備するために、オブリ雇用相は各労働団体との協議を開始したが、それぞれの主張には大きな隔たりがあり、調整は容易でない。特に、第1オブリ法に定められているように2000年1月1日から完全実施を目指すのか、それとも猶予を認める移行期間を設置するかについては激しい対立がある。

CFDT と CGT は、CFTC および CFE=CGC とも協力し、第2の法律の準備に圧力をかけるために、5月29日までの1週間にわたる示威行動を決定した。しかし、「統一」が掲げられていたとはいえ、アプローチの違いは明らかである。そして、法律が最終的に実施される前に移行期を設けるのか否かというデリケートな問題が両者を対立させている。というのも、CFDT のノタ書記長は週35時間制を実施する前に1年間の移行期を設けるべきだと主張しているからだ。CGT のナンバー2、マリーズ・デュマ氏はこれに真っ向から反対している。「この問題で我々の立場を変えることなどまったく問題外だ」と言う。

オブリ雇用相と会見した翌日の5月27日、ノタ書記長はこの問題で CFDT の提案を明らかにし、「交渉のダイナミズムを壊さないことが重要なのだ。なぜなら、法定労働時間の短縮という事実の中で法律に全面的な効力を与えられるのは交渉の他にはないからである」と述べた。すなわち、「平均交渉期間は6~9カ月にわたっているので、議論を開始するために第2の法律の起草を待ちたいと考えている多くの企業は2000年1月1日には準備を整えられないだろう」というのが CFDT の見解である。そして、政府が発表している社会保障負担軽減の恩恵を受けるためには、移行期終了前に企業が協約に調印することを条件とするべきだと提案する。

またCFDT は、時間外労働や最低賃金(SMIC)に関する規定が欺瞞的なものとなって、実質的に週39時間制を続ける企業の中に活かされることを望んでいないために、1999年12月31日時点で実施されている SMIC 時間率を当初は維持し、週35時間制へ移行した企業に SMIC の購買力の維持を義務づけるべきだと提案している。そして、「2002年1月1日以降に、全企業へ同じ時間率が適用されるように、SMIC 時間率を11.4%引き上げる」ことになる。

法定労働時間の計算や時間外労働への依存にも、CFDT は激しい姿勢をとる。前者の場合、「個人と結びつけられた法定休憩時間、法定休暇、祝祭日」は考慮するべきでないと、CFDT は主張する。

また時間外労働に関しては、現行枠130時間の一切の拡大を拒否している。CFDT はさらに、「年間計算の場合に50時間への縮小」を要求している。この他、労働時間を週32時間に短縮した場合に、追加的な金銭的インセンティブを提供するべきだとの要求も見られる。

それでは、移行期の導入を支持するとの主張は誰に向けられているのだろうか。ノタ書記長が「雇用相は大分前から移行期の必要性を確信している」と述べているので、政府に対してではない。フランス企業運動(MEDEF)のセリエール会長は1年の延期を主張しているるくらいなので、MEDEF に対してでもない。ノタ書記長はセリエール会長のこの要求に態度軟化の兆しを見たと確信してさえいる。しかし、ノタ書記長は、MEDEF が要求しているように、全体の日程を1年延期しようとは考えていない。協約締結のために既に2002年1月1日まで猶予が与えられている従業員20人以下の中小企業は対象から外されるに違いない。

したがって、このメッセージは明らかに CGT へ向けられているのだ。というのも、デュマ氏が5月17日に「猶予を認めるべきではない」と政府へ圧力をかけたからである。ノタ書記長は明言こそしなかったが、CGT が譲歩する可能性があるとほのめかしている。

だが、デュマ氏はその可能性を否定し、「我々は移行期に反対だ」と繰り返した。「われわれはオブリ雇用相と会見したときにもそのことを伝えた。移行期を設ければ、複雑すぎることに対応しなければならない。時間外労働、SMIC 時間率、そしてさまざまな主要規定の観点から、週35時間制は2000年1月1日から実施されなければならない。25%の割増賃金が適用されるのは次の1月1日の36時間目からである。」

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