週35時間制協約締結状況に関する総括報告書

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

雇用省は5月20日、「週35時間制に関する第2の法律をにらんで議論の方向を明らかにする」ために、1998年6月13日の法律に関する総括報告を発表した。「全体として見ると、およそ2分の1の企業が交渉に参加した」とオブリ雇用相は自賛し、「1998年6月13日以降5万6767人の雇用が創出もしくは維持された」との推計を示した。しかし、この数字は実際には雇用そのものの創出や維持というより、交渉者たちの約束を反映させたものである。

企業レベルでは、110万人をやや上回る労働者を対象に4076の企業協約が締結されている。雇用省はまた、活発な交渉の前兆とも考えられる5760の枠組み・指針協約が締結されたことを確認し、数千の交渉が近いうちに開始されるものと期待している。

調印組合を見ると、企業協約の90%において、進出している組合すべてが調印している。調印の傾向ははっきりと示されており、労働総同盟(CGT)の場合で86.4%、民主労働同盟(CFDT)の場合で95.4%が記録されている。委任制度が組合代表者の存在しない企業での交渉を可能にしており、6割の協約は1人の委任を受けた従業員によって調印されている。

部門レベルでは、800万人を対象に69協約が締結されている(このうちの410万人はすでに効力が拡張された32協約の対象となる)が、ここでは CGT の離脱が目立っている。すなわち、CGT が調印したのはわずか10協約(5.4%)にすぎない。また、3分の1の協約が CGT と CFDT 抜きで締結されていることも注目に値する。23協約がキリスト教労働者同盟(CFTC)、管理職総同盟(CFE=CGC)、労働者の力(FO)によって締結されているのである(4協約は、このうちの2組合もしくは1組合によって締結)。さらに、FO と CGT の両組合が調印を受け入れたのは繊維業協約だけであり、他にはまったく存在しない。

報告書は、「多くの場合、1年が基準枠になっている」ことを確認しつつ、労働時間調整の多様性を明らかにしている。すなわち、48.7%の協約は業務の変動に応じた労働編成の変更、48.6%は1日もしくは半日の週労働時間の短縮、42.5%は年間休日数、39.5%は1日の労働時間の短縮、24.8%は労働時間の長い週と短い週を交互にするなど、非常に多様な措置が定められている。また、大多数の協約は、労働時間を必ずしも35時間に到達させずに、基本労働時間を短縮しており、一般的な場合には「労働日数減少の方法が検討されている」。

一方、協約に基づく雇用の維持もしくは創出の数は合計で5万6767(創出が4万2834、維持が1万3993)となっている。この雇用効果は、補助を受ける協約(8%の雇用効果)と大規模公営企業などの補助を受けない協約(3.4%の雇用効果)とでは異なっている。

ところで85%の労働者については、賃金減額が定められておらず、多くの場合、今後の賃上げ率が引き下げられる。また9割の協約が新規採用者を既存従業員と同じ労働条件で雇用すると定めている。

雇用省によると、新規採用もしくは雇用維持の資金は、設備利用の改善および在庫の削減と結びつけられる資本の節約、賃上げ抑制、そして社会保障負担の軽減を通して確保できたという。

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