労働側、メーデー決起集合で政府に公約貫徹を要求
労働総同盟(DGB)その他の労組が、5月1日に恒例のメーデー決起集会を開催した。今年は昨年のような選挙をにらんだ主張はなかったものの、「雇用のための同盟」における取り組みなどとの関連で代表的労組の指導者が意見を表明した。
まずドルトムンドでは、シュルテ DGB 委員長とイッセン DAG 委員長が共同中央決起集会で発言し、昨年の総選挙で有権者の委託を受けて組織された連邦政府が、企業や使用者団体の要求に譲歩して企業寄りの政策をとるのではなく、有権者の付託にそうことを強く要求した。使用者団体側では4月28日、シュトゥムフェ金属連盟会長が、今年の協約賃金の妥結額は高すぎるので業界として5万人から7万人の雇用削減を予定していると発言したが、イッセン会長はこのような使用者団体側の雇用削減やドイツ国外への立地移転発言等を強く批判した。DGB と DAG の共同決起集会の開催は50年ぶりであるが、両委員長は、サービス業労組の設立を通して DAG が DGB 傘下に入ることに賛意を表明した。
また、「雇用のための同盟」で賃金政策を取り上げることについては、シュモルト鉱山・化学・エネルギー労組(IG BCE)委員長は、新たな雇用創出と結び付くならば、賃上げの範囲について議論の用意があると表明したが、ツビッケル IG メタル会長は協約自治を強調し、特に「雇用のための同盟」を賃金水準の基本線について議論する場とすることに従来どおり強く反対した。ただ、賃金水準の基線設定に対する反対は、他の労組指導者も同様で、シュモルト委員長も5月6日の ZDF とのインタビューでこのことを確認している。
この他、3月末に突然辞任したラフォンテーヌ前 SPD 党首兼蔵相が、ザールブリュッケンで退陣以来初めて公の大規模な集会で発言した。同前党首は、使用者団体側からは控え目な賃金水準という決まり文句しか聞こえてこないと批判し、政府に対しては選挙公約である失業対策にもっと取り組むことを強く要望し、さらに持論の EU において金利を下げるべきことを重ねて主張した。
1999年8月 ドイツの記事一覧
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