デルタ航空パイロット労組、デルタの地域航空会社利用に提訴

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

デルタ航空のパイロット9000人を代表して、全米パイロット労組(ALPA)がデルタ航空を相手取り、コムエアー持株会社(Comair Holding Inc.)が運航している飛行機をデルタ航空がボストン・ワシントン間の新しい定期往復便に用いることを阻止するため、ニューヨーク連邦地裁に提訴した。この背景には、地域航空会社が中規模都市に直行便を出すなどして、近年、急激に旅客数を伸ばしていることがある。大手航空会社も、小都市間の便に地域航空を利用してサービスを増強することができ、地域航空会社の存在は、大手航空のパイロットへの脅威になりつつある。

年功制度のもとで、大手航空会社のパイロットは、大型旅客機を操縦することで昇進し、多額の給料を得ることになる。デルタ航空で5年の年功があるボーイング737型機副操縦士の年収が9万ドルであるのに対し、コムエアー社の地域航空機機長の年収は約6万7000ドルに過ぎない。したがって、大手航空会社にとって地域航空の利用拡大はコスト面からも魅力的な選択肢である。

大手航空会社のパイロットにとって、地域航空会社利用問題は既に争点にあがっており、アメリカ航空パイロットは1997年に短期間のストを起こした。デルタ航空のパイロットは、デルタ航空が将来、地域航空会社の利用をさらに進めていくものとみており、地域航空会社利用問題の重要性は増すばかりである。

今回、問題になっている地域航空会社の飛行機は50人から70人乗りで、大型旅客機のいくつかよりも速い、時速530マイルのスピードを出すことが出来る。デルタ航空パイロットは、デルタ航空経営陣に、今後、大型旅客機数を削減しながら、地域航空機によるサービスを拡大しないことを確認してもらいたいと述べている。具体的には、デルタ航空の地域航空機の利用拡大と大型機の増便とを関連づけることなどを要求していく。9月にデルタ航空と労働協約締結のための交渉を開始する際には、地域航空会社問題が主要争点になると、デルタ航空パイロットは話している。

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