チームスターズ、自動車運送業者と暫定合意でスト回避

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

チームスターズ(全米運輸労組)は、全米で自動車運送業を営む大手諸社と6月3日、暫定合意に達し、ディーラーへの新車運送を遅滞させると予想されたストを回避した。同労組を率いることになってから76日目のジェームズ・ホッファ同労組委員長は、委員長選挙の際に表明していたよりも、柔軟かつ現実的な選択をしたと見られている。

暫定協定は、1万2800人の労働者(運転手・機械工・事務所労働者など)の向こう4年間の労働条件について定めている。初年度には、賃上げが無いかわりに、労働者1人当り1500ドルの一括支払いを受け取る。その後の3年間には、平均2.6%の賃上げが定められた。これは、平均的な労働協約よりも低い賃金上昇率である。さらに、自動車運送業者側に有利な内容として、新規雇用の機械工の一部を日曜日を含む様々な時間帯のシフトに雇用することが認められた。

これに対し、労働者に有利な内容として、勤続25年以上の労働者が55歳で退職した場合に、毎月2500ドルの給付を受けることができる。また、経営陣はメキシコ人トラック運転手に自動車の運送をさせないことを組合側に合意した。さらに経営陣は、新規雇用者に対して低賃金を適用する2階層賃金システムの採用を中止することで組合側と合意し、パートタイム労働者の雇用拡大を抑制するとした。

この他、高齢者医療保険制度メディケアに加入している退職者に対して、処方箋が必要な医薬品の費用を会社側が負担することになった。このように、労使双方ともに譲歩できるところは譲歩した内容となっており、チームスターズは、自動車運送業労働者の大きな関心事である退職後の年金給付に好条件を得た。チームスターズは、全国の自動車運送業労働者に今回の合意内容についての賛否を問い、1カ月以内に、その結果が出る運びになっている。

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