最近のストライキの光景
―市営水道会社PDAMストを中心に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年7月

最近のストライキは別表の通り。この中で大きく取り上げられているのはPDAM Jayaのストライキである。

4月8日、ジャカルタ市営の水道会社PDAM Jayaの従業員800人が賃金上昇を要求して中央ジャカルタ市にある本社ビル前で抗議行動を起こした。労働者と会社側の話し合いの席が持たれたが何ら有効な合意には至らなかった。この日の抗議行動は朝8時半に始まり午後には平穏に終了した。抗議に参加する労働者の中にはPDAM Jayaが提携している外資系企業PT TPJ(イギリス系)、PT Palyja(フランス系)との提携解消を求めていた者もいる。これは、PDAM Jaya本社に勤める200人の労働者よりも、提携先外資系企業と契約を結んだ2800人の労働者の方が高い給与を得ており、これは差別だとしているためである。その後、当社社長のRama Beodi氏から即座に給与を45%引き上げるという回答がでた。しかし、抗議活動をする従業員はPAM Jaya労組を組織し、要求項目を賃金格差是正から外資系企業との提携解消それ自体に移した。彼らによると、この提携は違法であり、KKN(「korupsi・汚職」「kolusi・癒着」「nepotisme・縁故主義」の頭文字を取った造語)の現われであるとしている。

4月12日には1000人の従業員が市民ホールに集まり抗議行動を起こした。労組リーダー達は PT TPJ、PT Palyjaとの提携は、飲料水供給部門に関して、外資系企業との提携を禁止すると規定する「1967年1号法」、民間企業との提携は契約締結過程を明らかにしなければならないとする「1994年大統領令16号」など7つの法律に違反していると述べた。4月29日には300人の従業員が提携先となっている英国および仏大使館を訪れ、抗議行動を起こしている。これはこの労使紛争に社会の注目を集めるねらいがあったようだ。

こうした抗議行動をよそに、外資系企業との提携のもと安定した飲料水供給が求められていることも事実である。ジャカルタ州特別知事 Sutiyoso 氏によるとジャカルタ州の約70%が井戸水で生活しているという。PT TPJによるサービス開始で北ジャカルタの600世帯が水道水の生活をすることが可能となったという。

このストによって、抗議する従業員を説得することができなかったRama Beodi社長は、その経営手腕を問題視され、Sutiyoso氏によって解任されるまでに事態が発展した。

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